2011 Fiscal Year Annual Research Report
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23870002
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
児玉 豊 宇都宮大学, バイオサイエンス教育研究センター, 助教 (00455213)
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Keywords | 植物細胞 / 低温応答 / 細胞小器官 / オルガネラ / 低温定位運動 / 葉緑体 / 蛍光タンパク質 / 遺伝子組換え |
Research Abstract |
我々は、以前、低温誘導性の葉緑体定位運動(低温定位運動)に関して報告しており、現在、分子機構の解明を目指している(Kodama et al.2008 J Plant Res)。低温定位運動とは、低温処理によって細胞内の葉緑体配置が変化する現象のことであり、シダやコケなどの植物で発見されている。たとえば、ホウライシダの配偶体である前葉体を25℃・弱光下で処理した場合、葉緑体は効率良く光に当たるために細胞表面に集合することが知られているが、前葉体を4℃・弱光下で処理した場合、葉緑体は弱光にも関わらず細胞接着面に定位する。本研究では、低温下における葉緑体を含む様々な細胞小器官の細胞内変化を解明することを目的としており、特殊な顕微鏡装置の開発と蛍光タンパク質を用いたライブセルイメージングを行う。平成23年度の研究実績として、温度を±0.1℃の誤差で制御することができる温度制御顕微鏡ステージを作製し、実験基盤の構築を行った。また各細胞小器官を可視化するために蛍光タンパク質遺伝子を組み込んだプラスミドの構築および植物への導入を行った。蛍光タンパク遺伝子が挿入された植物発現用ベクターを構築した後、これをアグロバクテリウムに形質転換した。同アグロバクテリウムを植物に感染することによって、蛍光タンパク質を発現する遺伝子組換え植物の作出を行った。現在、ミトコンドリア、ペルオキシソーム、核などが可視化された遺伝子組換え植物が作出されており、純化系統も得られている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成23年度には、温度制御顕微鏡ステージの作製とプラスミドの構築を計画していた。温度制御顕微鏡ステージの作製に関しては、計画通り、高性能な装置を作製することができた。またプラスミドの構築に関しては、研究開始初期に構築が完了し、さらにこれを導入した遺伝子組換え体の作出にも成功している。以上より、当初の計画以上に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、温度制御顕微鏡ステージを用いて、遺伝子組換え体の解析を行う。温度制御顕微鏡ステージと蛍光解析システムを上手く組み合わせて研究を進めることが重要と考えられる。
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