2012 Fiscal Year Annual Research Report
集団的な細胞移動における方向検出・極性・運動の協同性
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23870006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中島 昭彦 東京大学, 総合文化研究科, 研究員 (90612119)
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Project Period (FY) |
2011-08-24 – 2013-03-31
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Keywords | 細胞運動 / 粘菌 / 走化性 / 適応 / 自己組織化 / 反応拡散波 / 振動 |
Research Abstract |
粘菌細胞が集合体を形成する際には、静的なcAMP勾配ではなく、細胞間のシグナルリレーによってcAMPの動的な進行波の場が形成される。細胞は、作り出されたcAMPの進行波に応答し、波がやってくる方向に向かって移動する。このような場合には、細胞が受ける空間的な勾配は常に一定ではなく、波が細胞を通過するごとに勾配の方向が反転してしまう。空間勾配を検知するだけでは、繰り返し反転する場に対して細胞は行ったり来たりしてしまい、一方向に進むことが難しいはずと考えられている。 この問題を考えるために、前年度から引き続き微小流路を用いて進行波刺激を再現することに取り組み、進行波刺激系を構築することに成功した。これにより、進行波の時空間スケールを任意に変えるなどして、進行波に対する細胞応答を詳細に解析することが可能になった。本年度はこれを用いて、異なる進行速度のcAMP波に対する細胞応答の定量的計測をすすめた。その結果、細胞の移動方向は波の速度に依存して変わることがわかった。刺激の通過が速いと細胞は空間勾配を認識できずに止まり、逆に遅いと、波の通過に合わせて細胞もU ターンし波を追いかけた。一方で、細胞は適切な時間スケールで細胞を通過するcAMP刺激に対してのみ、波がやってくる方向へ一方向移動した。つまり、細胞は刺激時間が細胞応答の時間スケールと一致する適切な範囲でのみ、刺激のやってくる方向への一方向運動が可能だとわかった。さらに理論モデルを構築して調べたところ、進行波に向かう一方向運動を説明するには、細胞は空間一様な刺激に対して、刺激強度によって応答強度が決まる持続的な応答ではなく、適応的な応答をすることが必要であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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