2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規経路を介した持続的NF-κB活性化と炎症と発癌との連関
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23870022
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
土谷 佳弘 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 特任助教 (90611301)
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Keywords | NF-κB / IKKβ / 炎症 |
Research Abstract |
NF-κBは炎症と発癌に重要な役割を担う転写因子であり、細胞が炎症のシグナルを受容すると、阻害タンパク質IκBのリン酸化と分解によりNF-κBの活性化が誘導される。最近、我々は細胞がストレスを受容すると、IκBがリン酸化非依存性に分解されて持続的にNF-κBが活性化される新規経路を発見した。この新規経路により活性化されたNF-κBは、既知の経路で活性化されたNF-κBとは異なる細胞応答を引き起こす。本研究では申請者らが世界に先駆けて見いだした新規経路に着目し、この分子機構の解明と、新規経路を介したNF-κB活性化と炎症と発癌との連関を明らかにする。 本年度は、古典経路および新規経路のみが特異的に駆動される遺伝子改変マウスを作製し、このマウスを用いた炎症モデル実験や化学発癌モデル実験を行い、炎症・発癌における古典経路と新規経路の役割を明らかにすることを目的として以下のとおり実施した。 アルブミン遺伝子プロモーターを用いて肝細胞特異的にCreリコンビナーゼを発現するAlb-Creトランスジェニックマウスと、IKKβ^<F/F>マウスを交配して肝細胞特異的に内在性のIKKβ遺伝子を欠損するマウス(IKKβ^<F/F>;Alb-Cre)を用意した。さらに核局在シグナル(NLS)を付加したIKKβ遺伝子(NLS-IKKβ)、および核外移行シグナル(NES)を付加したIKKβ遺伝子(NES-IKKβ)を導入したトランスジェニックマウスを用意した。これらのトランスジェニック(TG)マウスと肝細胞特異的IKKβ遺伝子欠損マウスを交配して。NLS-IKKβ、NES-IKKβ遺伝子が肝細胞で発現するマウスを作製した。これらのマウスにリポポリ多糖(LPS)を投与し、このときに誘発される肝組織における炎症応答や組織障害を解析した。NLS-IKKβTGマウスでは、肝障害の指標である血清中のALT値の増加がみられたことから、新規経路により活性化されたNF-κBは、炎症応答を促進すると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに遺伝子改変マウスを用いた炎症における古典経路と新規経路の役割については、遺伝子改変マウスを作成し、炎症モデル実験に着手できていることからおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もIKKβ遺伝子改変マウスを用いた炎症モデル実験により、新規NF-κB活性化経路の関与を明らかにする。また、ジエチルニトロサミン(DEN)をマウス腹腔内に投与すると、肝臓における細胞死が誘発された後に、数ヶ月後には肝癌を誘発することができる。上記のIKKβ再構成マウスにDENを投与して化学発癌実験を行い、古典経路と新規経路の肝発癌における役割を解明する。最終的に肝臓での炎症・発癌における古典経路と新規経路の役割を明らかにする。
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