2011 Fiscal Year Annual Research Report
活性化受容体のエンドサイトーシスによる細胞内輸送機構の解明
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23870027
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
十島 純子 東京理科大学, 総合研究機構, ポストドクトラル研究員 (00431552)
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Keywords | エンドサイトーシス / クラスリン / 細胞内輸送 |
Research Abstract |
H23年度計画に沿って以下の研究を実施した。 (I.)受容体がクラスリン小胞へ取り込まれる機構の解明 酵母GPCRであるSte2pのリン酸化型特異的に結合する蛋白質の同定を試みた。酵母ゲノムライブラリーを用いて40万種の形質転換体をスクリーニングした結果、23個のポジティブなコロニーを得、哺乳類14-3-3蛋白質酵母ホモログであるBmh2pをSte2pの新規結合蛋白質として同定した。哺乳類14-3-3蛋白質は様々な種の細胞において幅広く発現し、高度に保存されているアダプター蛋白質であり、標的蛋白質とリン酸Ser/Thrを介して結合することが知られている。そこでBmh2pのSte2pへの結合がリン酸化依存的であるかを調べるため、脱リン酸化型Ste2pとの結合を調べた。この結果、Bmh2pは脱リン酸化型(Ste2-6SA)とは結合しなかった。以前の研究において、BMH2遺伝子はクラスリン遺伝子と遺伝学的に相互作用することが報告されており、これらのことからBmh2pはSte2pのクラスリン被覆小胞によるエンドサイトーシスに関与している可能性が示唆された。 (II.)クラスリン小胞の初期エンドソームへの輸送機構の解明 エンドサイトーシスマーカーであるAlexa-α-factorを用いて、(1)クラスリン小胞-エンドソーム間の輸送に異常がみられる変異体のスクリーニングを行った。1610遺伝子について解析した結果78遺伝子についてAlexa-α-factorの輸送に異常が疑われた(1次スクリーニング)。これらの遺伝子の中には、これまでエンドサイトーシスや細胞内輸送への関与が報告されていないものもあり、新規輸送関連タンパク質である可能性が示唆される。H24年度は、これらの変異体について、時間経過を追って詳細な解析を行うと伴に、残りの遺伝子欠損変異体についてスクリーニングを行う予定である。また、(2)クラスリン小胞とエンドソームの会合に異常がある変異体の解析を行った。クラスリン小胞やエンドソームに局在する蛋白質、もしくはリソソーム(液胞)への輸送に関わる蛋白質の中から約40種類を選別し、これらの遺伝子欠損変異体における、クラスリン小胞の動態を解析した。これらの遺伝子の中にはAlexa-α-factorの輸送に異常が認められた遺伝子も含まれていたが、クラスリン小胞とエンドソームの会合に明らかな異常があるものは同定できなかった。H24年度は、別の方法でクラスリン小胞とエンドソームの会合に関わる遺伝子の同定を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画(I)(II)ともに当初の計画通りおおむね順調に進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画(II)の(2)クラスリン小胞とエンドソームの会合に異常がある変異体の解析、については当初の計画では、約300種類の蛋白質について、これらの遺伝子欠損変異体におけるクラスリン小胞、初期エンドソームの動態を、蛍光イメージングにより解析する予定であった。しかし、これらの動態に明らかな変化が見られなかったため約40種類で解析を中断した。 H24年度は方法を変え、異常なアクチン集積を引き起こすエンドサイトーシス関連変異体(pan1-18TA)を用いて、この異常なアクチン集積に局在するエンドソームマーカーを探索し、クラスリン小胞とエンドソームの会合に関わる遺伝子を同定する。
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