2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23870032
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
北川 大樹 国立遺伝学研究所, 新分野創造センター, 特任准教授 (80605725)
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Keywords | 中心小体 / 中心体 / 細胞分裂 / 微小管形成中心 / 染色体不安定化 |
Research Abstract |
中心小体は動物細胞において進化上保存された自己複製する細胞小器官であり、微小管形成中心として機能する中心体の構築に必須の細胞内構造体である。近年、機能ゲノミクスやプロテオミクスを用いた網羅的解析により中心小体構築に必須の因子群の全貌は明らかになりつつある。しかし、これらがどのように細胞内で有機的に、そして時空間的に相互作用する事で中心小体が段階的に構築されていくかは不明な点が多い。本研究では、線虫初期胚及びヒト培養細胞における中心小体複製制御の分子機構の解析を行い、以下の成果を挙げた。 1.線虫遺伝学および機能ゲノミクスを利用した小規模スクリーニングにより、中心小体複製制御に関与する新規因子、PP2Aホスファターゼを同定した。また、PP2AホスファターゼがSAS-5/SAS-6複合体の中心小体への局在を制御することで、種間を通じて中心小体複製の開始段階において機能することを示した(Dev Cell,2011)。 2.ヒト中心小体構成因子群のインタラクトーム解析、フェノーム解析から中心小体複製に必須の新規因子STIL/MCPH7を同定し報告した(JCS,2011)。また、がん細胞に観察される中心小体過剰複製の表現系を抑制すると推測される新規因子群を同定することに成功した。これら一連の結果は、細胞周期中に新たに複製される中心小体の数を制御する分子機構の解明に寄与することが期待される。 また、これまでに遂行されたスクリーニングを通じて、中心小体in vitro再構成に必要であることが予想される因子群の選定が完了し、精製タンパク質を出発材料としたin vitro再構成系による中心小体構築の分子モデリングの基盤を整える事ができた。
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