2011 Fiscal Year Annual Research Report
トランスジェニック技術を用いたインドメダカ性決定遺伝子の機能解析
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23870036
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
竹花 佑介 基礎生物学研究所, バイオリソース研究室, 特別協力研究員 (60432093)
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Keywords | 性決定遺伝子 / 性染色体 / 遺伝子導入 |
Research Abstract |
これまでの研究から,ポジショナルクローニング法によってインドメダカ性決定遺伝子の最有力候補を特定した.そこで本研究では,トランスジェニック技術を用いた機能獲得実験および機能喪失実験により,本遺伝子がインドメダカの性決定遺伝子であることを証明する.本年度は,1)機能獲得実験・機能喪失実験のためのコンストラクト作製と遺伝子導入,2)候補遺伝子の詳細な発現解析,および3)遺伝子導入系統における表現型解析と遺伝子発現解析を行うことを計画した.機能獲得実験については,本候補遺伝子およびエンハンサー・プロモーター領域を十分含むと考えられる240kbのBACクローン(BAC240),および本クローンの候補遺伝子領域をGFPに置換したBAC(BAC240GFP)を作製し,これらを導入したトランスジェニック系統をそれぞれ3系統および2系統得ることができた.前者のトランスジェニック系統すべてから性転換XXオス個体が得られ,後者からは全く得られなかったことから,本遺伝子が性決定機能を有することが示された.機能喪失実験については,本遺伝子をターゲットとしたZinc Finger Nuclease(ZFN)を設計し,このmRNAを1細胞期の胚に導入した.導入個体およびその子孫から機能欠損型の変異をもつ突然変異個体を得ることができ,本種でもZFNが利用できることが示された.次年度にこれらの変異体の表現型を解析する予定である.また,本候補遺伝子の発現パターンをin situハイブリダイゼーション法によって解析したところ,受精後5目胚の生殖巣体細胞で発現が認められた.上記のBAC240GFP系統においても生殖巣で同様のGFP蛍光を観察することができ,経時観察によって受精後5目が発現のピークであることが判明した.これらの結果から,本遺伝子の一過的な発現によって精巣分化が開始されることが判明した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に計画した機能獲得実験をほぼ予定通りに行うことができ,性決定遺伝子の機能を証明するだけでなく,発現パターンを明らかにすることもできた.さらに,機能喪失実験では,ZFNの導入によって極めて効率的に突然変異体を得ることができた.この変異体の解析によって,本遺伝子の機能を確実に証明できると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度得られた突然変異体の表現型を解析し,機能獲得・機能喪失の両面から性決定遺伝子の機能を証明する.また,本遺伝子は転写因子をコードするので,レポーターアッセイや強制発現の系を駆使して,ターゲット遺伝子を明らかにする予定である.さらに,本遺伝子が他のメダカ近縁種でも性決定遺伝子として機能するかどうかについても検討する.これらの結果から,メダカ属における性決定機構の多様化メカニズムを解明する.
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Research Products
(6 results)