2011 Fiscal Year Annual Research Report
シロイヌナズナCLV3シグナル伝達系における細胞内シグナリングの解析
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23870040
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
木下 温子 独立行政法人理化学研究所, 生長制御研究グループ, 基礎科学特別研究員 (00612079)
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Keywords | シロイヌナズナ / シグナル伝達 / メリステム / ペプチドホルモン |
Research Abstract |
シロイヌナズナのCLAVATA(CLV)3は分泌型の低分子ペプチドをコードしており、その遺伝子産物は茎頂分裂組織のサイズを決定する重要なシグナル伝達因子として機能すると考えられている。これまでにCLV3の受容機構や、シグナルに応答した遺伝子発現制御が明らかにされているものの、CLV3の受容後に引き起こされる細胞内のシグナリング経路に関しては、ごくわずかな知見しか得られていない。そこで、本研究ではCLV3の下流で機能する新規因子を同定し、その機能解析から細胞内シグナリングの分子機構を明らかにすることを目標として解析を行う。平成23年度は、新規CLV3ペプチド耐性変異体cli2について以下の解析を行った。 1、cli2変異体の3つのアリルについて、表現型を詳細に観察した。その結果、cli2変異体では茎頂・根端分裂組織の肥大化に加え、幹細胞数の異常や、各種マーカー遺伝子の異所的発現など、様々な形態異常が観察された。 2、CLI2の組織レベル、細胞レベルでの局在を明らかにするため、CLI2遺伝子の上流1.8kb制御下でGFP-CLI2融合タンパク質を発現する形質転換体を作出し、GFPの発現解析を行った。その結果、GFP-CLI2は茎頂・根端分裂組織の広い範囲において、細胞質に局在するごとが明らかになった。 3、CLI2が、機知のCLV3受容体タンパク質であるCLV1、CRN/SOL2、RPK2と結合する可能性を検証するため、酵母ツーハイブリッド法、およびNicotiapa benthamlanaの葉における一過的発現系を用いたタンパク質問相互作用解析を行った。しかしながら、いずれの手法を用いた場合においても、CLI2と受容体タンパク質との結合は確認されなかった。 以上の結果から、CLI2は茎頂・根端分裂組織の細胞質において、重要な機能を司る因子であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
機器の故障により、実験のやり直しおよび再検討が必要になったものの、おおむね交付申請書に記載した計画に着手することができ、順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度の実験結果をふまえ、平成24年度にはさらに詳細なCLI2の機能解析を行う予定である。また、これらの実験結果をとりまとめ、学会発表を行うとともに、誌上発表に向けて論文執筆にも着手する。
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