2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23870041
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
PARKER Lorien 独立行政法人理化学研究所, 生命分子システム基盤研究領域, 客員研究員 (60604999)
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Keywords | Crystallography / Rational Drug Design / kinase inhibitor / Resistant mutants / EGFR Kinase / GAK / AMP Kinase |
Research Abstract |
本課題は、現在癌治療に使用されているヒト上皮成長因子受容体(EGFR)のキナーゼ活性阻害剤の副作用や患者の薬剤耐性獲得といった問題に対し、結晶学的手法と医薬品化学的手法を用いて、合理的な癌治療薬の設計を目指すものであり、これまでの研究でEGFRKやGAK等のキナーゼの阻害剤のヒット化合物が得られている。今年度はこれらの阻害剤とターゲットとするタンパク質の複合体の構造解析を目指した。 新規のEGFRK阻害剤を用い、新しい結晶化条件においてソーキングを開始した。得られた微結晶は回折が弱く、ソーキング技術や解像度がまだ十分でなく、データセットは得ることができたが、電子密度は阻害剤を正確に解析できるほどの分解能ではなかった。今後、ソーキング/抗凍結条件のさらなる最適化や高品質の結晶を作製するための結晶化条件の探索が必要である。 GAKタンパク質においては、これまでに野生型とgefitinibの複合体の結晶化に成功したが、微結晶のために回折が弱かった。その後、結晶化条件を検討した結果、大きな結晶を得ることができ、これにより約8Aの回折が得られた。今後、結晶の損傷を回避するために凍結前の低温条件の検討が必要である。また、GAKの変異型の結晶は野生型の結晶と比較すると大きな結晶を得ることがまだ難しいが、タンパク質と沈殿剤を低濃度にすることで、数は少ないがより大きな結晶を得るための結晶化条件の最適化を進めている。 AMPKにおいて、既知の阻害剤との複合体の構造を基に、新規の阻害剤を設計・合成した。この阻害剤とAMPKの共結晶化に成功し、予備実験では約4Aの回折データが収集できた。今後、大規模放射光施設において回折実験を行う予定である。また、条件検討の結果、より大きな結晶が得られてきているので、今後は低温条件の最適化を行う予定である。これらを用いて、近日中にデータセットの取得を行いたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
AMPKは計画どおりに進行し、最適化された阻害剤を設計・合成し、現在は複合体の結晶化のトライアルを行っている。EGFRKやGAKについては、よりよい複合体結晶を得るために、さらなる最適化が必要であり、この作業は進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
申請時の計画通り、EGFRKやGAKの結晶化における最適条件の検討を継続する。まだ探索すべき条件が多いが、近い将来に結晶の回折品質の改善をめざしたい。 結晶成長途中でのX線回折チェックを可能とするPX Scannerシステムを理研に導入したため、この使用により、回折の分解能の目処が立ち、阻害剤のソーキング、抗凍結などが結晶化に与える影響を効果的に確認することができるので、今後の研究の推進へとつながるだろう。
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Research Products
(2 results)