2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23880004
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
島津 朋之 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教 (20616437)
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Keywords | 抗病性 / ブタ / 免疫 |
Research Abstract |
養豚産業において,マイコプラズマ性肺炎などの呼吸器病による経済的損失は甚大である.本研究は遺伝育種学的手法により造成されたマイコプラズマ抗病性豚の詳細な免疫調節機構を解明し,抗病性の原因を明らかにすることを目的としている. 本年度は定常状態におけるマイコプラズマ性肺炎抗病性豚と対照豚の免疫能の比較を行った.その結果,(1)ミエロイド細胞,T細胞,B細胞,NK細胞の血中存在比に系統間の違いがない,(2)細胞増殖試験において,マイコプラズマ刺激における対照豚の増殖能が若干低い傾向を示したものの(p=0.08),LPSやConA刺激区に系統間に違いがないことが明らかとなった.さらに、(3)骨髄の細胞分布にも違いが認められなかった.一方,末梢血単核球を微生物成分を認識する受容体(TLR)のリガンド(FSL-1,LPS)やマイコプラズマ菌体で刺激し,刺激後のサイトカイン発現量を系統間において比較を行ったところ,IL-1b,TNFa,IFNgの発現量に系統間に違いが認められなかったが,IL-10の発現量は抗病性豚において有意に高い(FSL-1,LPS刺激区)ことが明らかとなった.また,一般豚に比べ抗病性豚由来の末梢血単核球がマイコプラズマ菌体刺激によりケモカインであるIL-8の有意な発現量増加を示すことが明らかになった.さらに,ザイモザンを用いた貧食能活性試験にも系統間に違いが認められた.これらの結果は抗病性につながる原因が,微生物成分による刺激を受けた後の初期の免疫応答の違いに由来する可能性を示唆しており,今後,TLRの発現量解析などを通して詳細な検討を行う.これらの基礎情報を活用した疾病に対する抵抗性に優れ,安全・安心に配慮した純粋種の育種改良への応用が強く期待される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MPS抗病性豚の免疫反応を調べることで,一般豚との違いがより詳細に明らかになった.本結果より,細胞数に運いが認められない一方,細胞の機能性が異なる可能性が高いことが示唆され,免疫調節作用の解明に向け,より焦点を絞った研究を行える.
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Strategy for Future Research Activity |
造血機能の変化でない可能性が示唆されたことから,今後は細胞の機能性の違いを明らかにすることに的を絞り研究を行う.具体的には微生物成分を認識するレセプター(TLR、NOD等)に着目し研究を遂行していく.
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Research Products
(3 results)