2011 Fiscal Year Annual Research Report
ストリゴラクトンの植物界における起源および植物体内における分布の解明
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23880005
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
謝 肖男 宇都宮大学, 雑草科学研究センター, 助教 (30610323)
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Keywords | 植物 / 生理活性 |
Research Abstract |
本研究ではストリゴラクトン(strigolactone:以下SLと省略)と呼ばれる化合物群を研究対象とする。SLは、植物体内では地上部の枝分かれを制御する植物ホルモンとして機能し、植物の根から土壌根圏に放出されるとアーバスキュラー菌根菌およびストライガやオロバンキなどの根寄生雑草の宿主認識シグナルとして働いている。本研究では、植物界におけるSLの起源、本来の生理機能を明らかにするため、植物の進化では最も基部に位置するとされるタイ類の代表であるゼニゴケ(Marchantia polymorpha L.)を用い、植物が陸上へ進出した際にSLが存在したかどうか、さらに生産する場合には、生育ステージの違いによるSLの質的・量的な違いがあるかどうかを検証した。 実験方法としては、ゼニゴケ(Takaragaike-1)の無性芽を1/2Gamborg's B5培地で培養した。10,15,20,25,30,35,40日間に培養した植物体をそれぞれ回収し、そのまま酢酸エチルに2~3日間浸漬した。ろ過後、0,2MK_2HPO_4水溶液で洗浄し、脱水濃縮して酢酸エチル可溶中性(NE)区を得た。NE区はシリカゲルクロマトグラフィーで精製後、LC-MS/MS分析した。 その結果、ゼニゴケの生育ステージ別にSLの生産を解析したところ、無性芽の移植から10,15,20日にかけてはSLの生産が認められなかった。25日目以降に、fabacyl acetate、5-deoxystriol、orobanchyl acetateおよびsolanacolが検出された。さらに、ゼニゴケでもヒメツリガネゴケのように生育ステージが進むにつれて生産するSLの総量が増大する傾向が認められた。本研究結果から、植物が陸上に進出した時にはすでに(あるいはほぼ同時に)SLが存在しており、原始的な陸上植物においても種子植物同様に複数のSLを生産していることが証明された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初23年度は主に植物界の基部に位置するゼニゴケおよびシダ植物が生産するSLの解析を行う予定だった。しかし、ゼニゴケは予定通りに解析することができたが、シダ植物の水耕栽培が困難のゆえ、水耕によるシダ植物の栽培方法をずっと検討していた。そのため、シダ植物におけるSLの解析には至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、(1)植物界および(2)植物体内の各部位におけるSLの定性・定量解析を行い、植物界におけるSLの起源、本来の生理機能の解明を目的とする。すべての研究内容は当初の研究計画通りに進んでおり、変更する必要がないと思われる。 今年度から、昨年の研究に引き続き、植物界におけるSLの分布調査をさらに深めると同時に、新たに植物体内の各部位(根、茎、葉、芽、実および導管液)におけるSLの定性・定量解析を行う予定である。
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Research Products
(3 results)