2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規糖質加リン酸分解酵素を活用した機能性オリゴ糖のライブラリー化
Project/Area Number |
23880010
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
中井 博之 新潟大学, 自然科学系, 助教 (00400002)
|
Keywords | 酵素 / 糖 / 生理活性 |
Research Abstract |
生体内糖質代謝に関与する糖質加リン酸分解酵素(ホスホリラーゼ)による糖質合成収率は極めて高く、産業上有用な酵素になり得る。しかしながら、既知のホスホリラーゼは14種類のみと報告例が少なく、今後生産可能なオリゴ糖のバリエーション拡大には、新たなホスホリラーゼの発見が必須であった。本研究では様々な生物種のゲノム情報を活用して、これまでに報告例のない新規なホスホリラーゼを見出し、各種酵素の糖受容体特異性を明らかにすることで、新規オリゴ糖のライブラリー化を試みた。まず真正細菌由来のホスホリラーゼ様タンパク質(Cphy1874、Cphy1019)をコードする遺伝子をPCR法により単離し、大腸菌による異種宿主発現系を確立した。Cphy1874はリン酸存在下でグルコース2分子がα-1,3結合したニゲロースを加リン酸分解すること、さらにβ-グルコース1-リン酸(糖供与体)とグルコース(糖受容体)を出発材料とした際はニゲロースを高収率合成することが分かった。本結果により、Cphy1874はこれまでに報告例のない新規加リン酸分解酵素ニゲロースホスホリラーゼであることが明らかになった。Cphy1019については、リン酸存在下で既知のグルコ2糖に対して加リン酸分解活性を示さなかったが、糖質合成反応にてL-ラムノースを糖受容体とした際にのみ合成活性を示した。反応生成物の構造を核磁気共鳴分光法にて確認したところ、3-O-α-D-グルコシル-L-ラムノースであったことから、Cphy1019は新規加リン酸分解酵素3-O-α-D-グルコシル-L-ラムノースホスホリラーゼであることが判明した。今回得られた両新規酵素の詳細な糖受容体特異性を調査することで、これまでに6個の新規α-1,3グルコシルヘテロ2糖の合成に成功している。
|