2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23880013
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
赤木 剛士 京都大学, 農学研究科, 助教 (50611919)
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Keywords | モモ / 栽培化 / ジェノタイピングチップ / 全ゲノム解析 / selective sweep |
Research Abstract |
モモ亜属に属するモモ品種群、アーモンド品種群、野生種群およびモモ亜属以外の代表的なサクラ属種に対して約9000ローカスをカバーするSNPsチップを用いたジェノタイピングを行った。これまでに100品種以上のタイピングが終了し、特に約80のモモ品種群については7500ローカス以上の詳細なSNPsタイピングが完了した。この情報を用いて集団の構造解析を行い、現在栽培されているモモ品種群は、野生種とは明らかに隔離された状態で進化を行い、その原因は遺伝的浮動すよるものではなく、栽培化・育種化に対応した歴史的な人為的選抜によるものである可能性が示唆された。この選抜はモモの用途に応じて独立して複数回起こっている事が明らかになり、選抜後の集団がそれぞれ特異なクラスターを形成していることが示唆された。また、各クラスター間およびクラスターと在来野生品種群の間での遺伝子交流は非常に少なく、栽培・育種の強いセレクションを受けてそれぞれのクラスターで独自の進化が進んだ可能性が考えられた。クラスター間において、SNPs情報から全ゲノムレベルでの多様性度の推移を検出して比較することにより、各クラスターに特徴的なゲノム部分領域へのselective sweepを検出し、そのゲノム領域から選択の原因となった遺伝子群の探索を行った。選抜の原因となった遺伝子は言い換えると、各クラスターの特徴を反映する原動力となった遺伝子である。特に観賞用の花モモ、および一部の生食用のモモクラスターにおいて、特定のゲノム領域に特異な選択の痕跡が見られ、それらの領域にはそれぞれのクラスターの特徴と非常に関連性の考えられる遺伝子群が存在していた。これらの結果により、モモ品種群の栽培化において、人為的選抜を受け、現在の多様化したモモの各特徴を示す原動力となる重要遺伝子群が同定される可能性が示された。
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