2011 Fiscal Year Annual Research Report
酵素の至適温度の違いを利用したワンバッチ糖鎖連続合成系の確立
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23880016
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
鶴田 祥子 神戸大学, 自然科学系先端融合研究環・重点研究部, 学術推進研究員 (30608625)
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Keywords | 好冷菌 / 低温活性酵素 / 糖転移酵素 / 糖鎖 |
Research Abstract |
本研究は、低温酵素・中温酵素・耐熱酵素を利用して、低温(15℃前後)~中温(37℃)~高温(70℃前後)の段階的な温度変化によるワンバッチ連続糖鎖生産系の構築を目的とするものである。すなわち、温度を順次上昇させることで、ワンチューブに封入された低温、中温、耐熱酵素を順番に活性化させ、連続的に物質を合成するものである。第一段階として「低温→中温」にターゲットを絞り、低温域で活性化される糖転移酵素の作製、およびその利用によって、連続的に単糖を付加することで糖鎖の合成を行うことを目標とした。そのためにはX線結晶構造解析によって低温活性発現能を発揮する「構造要因」を解明する必要がある。そこで当該年度においては、主要な糖転移酵素が存在するglycosyltransferase,group 2 family protein(GT-2)について、組み換え型酵素を作製するためのクローニングと大量発現系の構築を行った。材料として好冷菌Shewanella frigidimarinaを選択した。S. frigidimarinaが有する6種類のglycosyltransferase,group 2 family protein(GT-2)をgDNA上に存在する順にH,1,J,K,L,Mと名付け、PCRクローニングを行った。その結果、すべてのGT-2についてタンパク質発現用ベクターを取得することに成功した。ITPGを用いてタンパク質発現を誘導したところ、SDS-PAGEにおいて組み換えタンパク質のバンドが確認できた。発現タンパク質は不溶性画分に存在したため、今後可溶化条件の検討を行った後に結晶化条件の検討を行い、立体構造解析によって低温活性発現能を発揮する「構造要因」を解明する。「構造要因」を解明できれば低温機能型酵素を作製の作製につながり、物質生産系の構築が可能となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験開始当初は計画通り材料として好冷菌Shewanella sp.を用いていた。しかし、様々な手殺を講じたにも関わらずGT-2遺伝子の取得には至らなかったため、計画よりもやや遅れている。問題を解決するために材料をShewanella frigidimarinaに変更した後は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は組換え型GT-2を取得し、タンパク質の結晶化条件の検討とX線結晶構造解析を行う予定である。現在のところ発現タンパク質は不溶性画分に存在するため、ベクターおよび培養条件の検討等を行う。
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