2011 Fiscal Year Annual Research Report
誤嚥性肺炎の新規動物モデルの確立と革新的治療法の探索
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23890018
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岡崎 達馬 東北大学, 高等教育開発推進センター, 助教 (40396479)
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Keywords | 誤嚥性肺炎 / 動物実験モデル / リンパ管新生 / 血管のリモデリング |
Research Abstract |
これまで確立した誤嚥性肺炎の動物モデルはなかったため、そのモデルの確立を最初に目指した。様々な実験系を試した結果、C57BL/6マウスに麻酔をかけて胃酸を模してPH 2とした塩酸溶液に胃液の成分であるペプシンを混ぜたものを25μl経鼻投与し、連続して口腔や鼻腔の環境をまねて細菌由来の毒素のlipqpolysaccharide(LPS)を混ぜた溶液を25μl経鼻投与した。これを週に5回、3週から4週間にわたって投与したところ、コントロール群に比べて3週及び4週処置群で有意な体重減少を認めた。3週間もしくは4週間処置後マウスに麻酔をかけ、左心室からカニューレを挿入して高圧でパラホルムアルデヒドを還流した後気管を取り出した。この気管を血管のマーカーであるCD31、及びリンパ管のマーカーであるLYVE-1に対する抗体で免疫染色したところリンパ管新生と弱い血管のリモデリングが認められた。リンパ管新生の指標として伸びつつある新生リンパ管の芽の数を計測したところコントロール群に比べて3週間処置群、4週間処置群共に有意な増加を認めた。血管のリモデリングは定量化してもコントロール群と誤嚥群で差はなかった。またコントロール群に比べ気管傍リンパ節の有為な重量増加を3週間及び4週間処置群で認めた。肺の H&E 染色では両肺に公汎にわたる単球系細胞の浸潤と一部器質化した肺炎像を3週間及び4週間処置群で認めた。体重減少より誤嚥による全身状態の悪化、リンパ管の芽の数増加より誤嚥によるリンパ管新生の誘導が示唆された。リンパ節の重量増加より免疫反応の強い活性化が示唆された。また、誤嚥性肺炎実験モデルにおいては血管の変化は弱く、むしろリンパ管が強く変化する事が示唆された。これらの結果は日常の診察で頻繁に出会う誤嚥性肺炎の病態の解明と新規治療法の開発に少しずつ貢献しつつあると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今まで確立されていなかったマウスを用いた誤嚥性肺炎モデルを作成し、リンパ管の増生が気道で起きている事を確認した。また、体重減少等が起きている事も確認したため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在マウス誤嚥性肺炎モデルの3及び4週間誤嚥させたモデルから気管及び肺を取り出しmRNAを抽出しているところである。今後quantitative RT-PCR法を用いてtumor necrosis factor(TNF),IL-1-β,IL-6等の炎症性サイトカイン及びvascular endothelial growth factor(VEGF)-C,-D等のリンパ管増生因子の発現を定暴化する予定である。またステロイド投与を行って誤嚥性肺炎が緩和されるか観察し、誤嚥性肺炎の治療法を検討する。
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Research Products
(2 results)