2011 Fiscal Year Annual Research Report
ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤誘導microRNA解析による新規癌治療法の開発
Project/Area Number |
23890031
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
星野 敢 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (10400904)
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Keywords | microRNA / miR-375 / histone deacetylase inhibitor / CHAP31 / LDHB / MTDH / ESCC |
Research Abstract |
食道癌は今日においても予後不良な難治性の癌として認識されている。その治療成績の改善には新規の診断方法や治療法の開発が望まれる。今回我々は食道癌においてアセチル化にて誘導されるmicroRNA(miRNA)を同定し、その機能解析を施行することによって癌における発現意義を解析しさらに臨床応用を目指した検討を行うこととした。代表的な食道扁平上皮癌細胞株であるTE2とT.Tnを用いて検討を行った。TE2とT.Tnにhybrid型のhistone deacetylase inihibitor(HDACI)であるCHAP31をIC50の濃度にて暴露した。その後細胞よりtotal RNAを抽出しmicroRNAの発現プロファイリングを施行した。その結果miR-375がCHAP31の暴露群においていずれの細胞においても500倍以上の発現上昇を認めることを確認した。そのため実際に臨床検体20例を用いて、癌部、非癌部でのmiR-375の発現を検証したところ、有意差をもって癌部での発現が低下していることが確認された。次いでmiR-375を細胞に導入し機能解析を施行した。TE2、T.Tn双方において増殖能、移動能、浸潤能のいずれもが低下することが確認されmiR-375が食道扁平上皮癌において強力な抗腫瘍効果を有することが示唆された。さらにmiR-375のターゲットを検索するために、miR-375導入による遺伝子発現変動をmicroarrayを用いた網羅的解析にて施行した。その結果、その結果複数の候補遺伝子が同定されたがTargetscanを用いた検索にてLDHBとMTDHが候補遺伝子として抽出された。実際双方の遺伝子発現はreal-time PCRでの検証の結果、癌部において有意に発現が亢進していることが確認された。また免疫組織学的検証において蛋白レベルでの検証も行ったところやはり癌部において著明に発現レベルが亢進していることが確認された。LDHBの機能解析をsiRNAの手法で施行したところ、増殖能、侵潤能ともに低下し、LDHBが食道扁平上皮癌にて癌遺伝子様の機能を有するものと推測された。
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Research Products
(1 results)