2011 Fiscal Year Annual Research Report
早産児が修正33週から35週の時期に示す対処行動の特徴
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23890033
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
仲井 あや 千葉大学, 看護学研究科, 助教 (30612197)
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Keywords | 早産児 / 対処行動 / Developmental Care / ストレス / NICU |
Research Abstract |
1.文献検討 ・早産児の発達について、特に修正33週から35週の生理機能、運動機能、睡眠-覚醒に関する文献検討を行った。聴覚機能について(Stanly N.Graven,2008)は、視覚機能と異なり、在胎28週以降に、声や言葉、音楽、意味のある環境の音などを伴う聴覚経験を必要とすること、また60dBを超える環境音の元では、意味のある音を認識したり識別したりできないことなどが分かった。本研究で焦点を当てた修正33週から35週の時期は、聴覚機能の発達においても重要であり、対処行動の特徴を明らかにすることは、早産児の発達支援を検討する上で意義があると考えた。この他、早産児の発達予後、ストレスと中枢神経系への影響、ストレスへの早産児の反応と行動等について文献検討を進めている。 2.フィールド調査 ・2施設でのデータ収集を予定し、フィールド調査と連絡調整のための研修を10月より開始した。1施設は2月下旬に研究依頼し、データ収集を開始。残り1施設は現在も研修を継続中であり、今後、施設の倫理審査に諮り、データ収集の開始を目指している。フィールド調査では、施設の環境条件(保育器問の距離医療機器の稼働台数等)により、室内の騒音レベルが異なっていた。また、同じ週数の患児でも、騒音レベルの高い環境で過ごす対象児のほうが、対処行動の出現頻度が少なく、生理的変化を多く示す傾向が見られた。これらの視点を含め、今後の研究データの収集と分析を行っていく予定である。 3.データ収集・個別分析 ・1ケースのデータ収集を、修正33週から35週まで完了し、4回の観察記録と、3回のビデオ観察データを得た。観察記録では、行動の出現頻度に着目して分析を進めている。ビデオ観察データからは、行動が出現する順序性にも着目して観察場面の詳細な分析を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画書に沿って、おおむね順調に進展していると言えるが、予定していた対象者数に達するまでには時間を要するため、「研究目的」の達成度はやや遅れている。対象候補となる患児の修正週数や生後日数、全身状態等を考慮しながら、研究対象者の選定、保護者への研究説明と協力依頼を含め、研究承諾を得るまでの一連の手続きを病棟管理者と相談しながら慎重に行っていることが主な理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
1.文献検討 ・早産児の示す行動やストレスによる影響、発達予後等について、新しく発表された論文を加え文献検討を進める。 2.施設との連絡調整 ・データ収集を予定している残り1施設への研究依頼を行い、施設の倫理審査に諮る。倫理審査承認後からデータ収集を開始できるように病棟との連絡調整を行い、準備を進める。研究開始前まで研修を継続する。 3.データ収集と分析 ・対象候補者の選定は病棟師長と相談し、慎重に進める。2施設合わせて4~6名を目標とする。 ・2施設間の環境条件は騒音レベルにおいて異なる可能性があるが、環境操作は行わない。異なる環境条件下でも共通する特徴や、違いを含めてデータを分析する。 ・研究計画に沿い、観察記録からは行動の出現頻度の算出と観察場面の質的分析を行う。ビデオ記録は、対処行動に着目し、場面ごとに詳細な分析を行う。 ・対象者数が少ない場合を考慮して質的分析の方法を再検討し、当初計画していた概念枠組みに沿った分析に加え、行動の出現する順序性や出現パターンに着目した分析も行う。 4.研究成果の発表と施設への成果還元 ・平成24年11月の日本新生児看護学会において中間報告を行うことを目標とする。最終報告は平成25年11月の日本新生児看護学会で報告できるよう準備する。報告書を作成し研究協力施設、対象者保護者への報告を行う。
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