2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23890034
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清水 洋平 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教 (60609816)
|
Keywords | カルボン酸 / ボロン酸 / 触媒 |
Research Abstract |
通常、直接求核反応には用いられることがないカルボン酸を直接求核剤として用いるため、ボロン酸による活性化をめざし研究を行った。モデル反応として、ベンズアルデヒドとp-メトキシフェニル酢酸を用いたアルドール反応を検討した。入手容易なピナコールボラン、もしくはカテコールボランを用い、事前にカルボン酸とボロン酸の結合を作った上で、金属触媒の添加効果及び塩基の効果を精査した。その結果ピナコールボランとカテコールボランを用いる系でそれぞれ異なった反応性を示すことを見出した。すなわちピナコールボランを用いる系ではスカンジウムトリフレートを用いた条件のみで反応が進行するのに対し、カテコールボランを用いる系ではそのような金属の添加は必要なく、DBUを塩基として用いるのみで反応が進行することが分かった。この結果はボロン酸の性質がカルボン酸の活性化に大きな影響を与えていることを示すものであり、ボロン酸のデザインが重要な因子であることを改めて示唆した結果であると考えられる。さらに、ボロン酸の置換基を電子不足の置換基であるカルボン酸にすることでさらに反応性が向上し、88%の収率で目的物を得ることに成功した。本結果は研究計画に示していた、当量反応での反応条件の確立という点に合致し、ほぼ当初の目標を達成できたといえる。また、ボロン酸が反応性に大きな影響を与えることを確認できたことから、ボロン酸の適切なデザインによって触媒反応へ展開しうると考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り初年度で当量反応で良好に反応が進行する反応条件を見出すことに成功しており、ボロン酸を用いることの有用性を立証できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
触媒反応へと展開する上で生成物に含まれるアルコールがボロン酸と強固に結合してしまうことによる失活が問題点となりうる。初期段階ではこのような問題を避けるため、Michael型の反応形式をとることによってアルコールが生じない系で触媒化を検討したい。
|