2011 Fiscal Year Annual Research Report
スギ花粉症の自然寛解機序の解明-形質細胞様樹状細胞の加齢による機能変化の観点から
Project/Area Number |
23890047
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平野 真希子 東京大学, 医学部附属病院, 特任臨床医 (10611907)
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Keywords | 耳鼻咽喉科 / 免疫学 / アレルギー性鼻炎 / 樹状細胞 |
Research Abstract |
形質細胞様樹状細胞(pDC)は全身に分布する希少細胞である。toll-like receptor(TLR)の7と9を発現し、ウイルス感染時大量の1型インターフェロンと各種のサイトカインを出し、自然免疫を活性化し、獲得免疫系統も制御することによって憾染防御のイニシエーターとして働く。また、pDCの成熟状態によりTh2細胞を誘導すること、アレルギー性鼻炎患者に抗原を暴露すると鼻粘膜の上皮下にpDCが集積すること、未成熟のpDC上にはTLRだけでなく高親和性lgEレセプターFcεRIも発現しており、TLR9とFcεRIの発現は相反関係にあること、アレルギー疾患患者のpDCではTLR9のagonistであるCpG-ODN刺激によるIFN産生が低下しているという報告などから、pDCがアレルギー性鼻炎の病態に関与している可能性が高いと考えられる。スギ花粉症患者の加齢によるpDCの機能変化を解析することでスギ花粉症の自然寛解の機序を解明し、新たな治療法開発の可能性を探ることが本研究の最終目標である。具体的には各年代ごとにスギ花粉症患者と健常者を分け、以下の実験を計画した。(1)鼻粘膜内のpDCの免疫組織染色による細胞生物学的解析(2)鼻粘膜mRNAを用いたTLRの発現量などの分子生物学的解析(3)分離したpDCを用いたin vitroでのIFN産生などの細胞生物学的解析(4)上記結果と年齢による相関の有無の統計学的解析。本年度は樹状細胞とリンパ球の位置関係を確認することと、樹状細胞の活性化状態を見るため、各抗体(BDCA1,BDCA2,CD3,CD4,CD8,CD19,CD86)の免疫組織染色の条件設定および鼻粘膜よりRNAを抽出し、real-timeRT-PCR(TLR7,TLR9,IFNγ,IFNα,IL-4,10,13,17,33,TSLP)の条件設定を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
目的のものが見えるようになる条件設定がなかなかうまくいかず、実際の患者の標本解析までできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年より患者のエントリーを開始し、標本データを解析予定である。
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