2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23890063
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
清水 太郎 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (60609121)
|
Keywords | 歯肉増殖症 / 歯肉溝浸出液 / マルチプレックスサスペンションシステム |
Research Abstract |
降圧薬として用いられるカルシウム拮抗薬は薬剤性歯肉増殖症を誘発することが知られているが、未だその病因は完全には解明されていない。 科研内容である歯肉増殖罹患歯肉の歯肉溝浸出液における研究はこれまでに数種類のサイトカイン等を各々調べたものに過ぎず、包括的な報告は皆無である。更にいくつか報告されているサイトカイン等の関連についても不明である。 そこで、これまで我々が報告してきたサイトカイン、細胞接着因子、細胞増殖因子、マトリックスメタルプロテアーゼなども含め各種因子間の関係についてマルチプレックスサスペンションシステムを活用することで、その病態で起きているメカニズム解析を行うこととした。この手法は微量体液中から多項目のタンパク質量を同時かつ高感度に定量できる画期的なELISAシステムであり、歯肉溝浸出液中のサイトカイン・増殖因子などのバランスや相互作用など、これまで解析不可能であった点を明らかにすることができる。治療期間の2点で歯肉溝浸出液を採取して、そのメカニズム・各々のタンパク質における比較検討して、その関連性について調べることとした。またこれまでの報告では細菌と歯肉増殖症との関連についても報告されており今回、同時に調べた。 この方法を用いた結果、歯肉増殖症部位で特異的に発現したいくつかの因子(細胞増殖因子・細胞接着因子・炎症性サイトカイン)、またそれらの相互の関連性について国際学会(第98回American Academy of Periodontology)で発表を行うことができた。 ただ予定していた目標のサンプル数が集まらなかったが、現在までのデータにて一度国際学会で発表する予定である。また来年度中に論文としてまとめて報告する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまで我々が報告してきたサイトカイン、細胞接着因子、細胞増殖因子、マトリックスメタルプロテアーゼも含め歯肉増殖症の歯肉溝浸出液を利用することでその病態で起きているメカニズムおよび各々のタンパク質における関連性について解析を行うこととした。その方法としてマルチプレックスサスペンションシステムを活用して初診時および歯周初期治療終了時の治療前後における歯肉溝浸出液を採取して比較検討することとした。また以前の報告では細菌と歯肉増殖症との関連も報告されており、それら細菌を含めて同時に4菌種も調べた。 選定した14項目のタンパク質のうち、2つの炎症性サイトカインであるInterleukin (IL)-8, Matrix Metalloproteinase (MMP)-13, そして細胞増殖因子であるVascular endothelial growth factor-A (VEGF-alpha)において歯肉増殖症で強く発現され、歯肉増殖症との関連性を示すことができたため来年の国際学会(第98回American Academy of Periodontology)にて発表を行う予定とした。この手法を用いた結果、歯肉増殖症部位で特異的に発現したいくつかの因子間(細胞増殖因子・細胞接着因子・炎症性サイトカイン)の関連性について報告を行い、まとめていきたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
大学病院の移転など大型改修などの影響も重なり臨床研究である歯肉溝浸出液を集める対応が遅れてしまい、当初予想していたサンプル数の確保に苦労した。ただ現在は移転改修も落ち着き、当初目標としていたサンプル数を集めることができたため前回のデータを含めて再度解析を行うところである。したがって来年の夏までに解析が終わるため、秋季歯周病学会にて発表を行い、論文としてまとめて報告する予定である。
|