2011 Fiscal Year Annual Research Report
未成熟ミエロイド系細胞を標的とした口腔癌に対する新たな免疫療法の開発
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23890069
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
冨原 圭 富山大学, 大学病院, 医員 (70404738)
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Keywords | 口腔癌 / マウスモデル / ミエロイド系抑制性細胞 |
Research Abstract |
本研究は、癌組織で著しく増殖することが報告されている未成熟なミエロイド系抑制性細胞(Myeloid derived suppressor ce11: MDSC)を標的とした口腔癌に対する新たな免疫療法の開発を目的としたものである。これまでの研究成果では、マウス口腔癌モデルを用いた免疫学的解析により、このCD11bおよびGr-1陽性のMDSCが口腔癌担癌マウスの腫瘍局所および所属リンパ節内で増加していることが確認された。しかしながら、同時にCD4、CD25、Fox p 3陽性のRegulatory T ce11(Treg)も著しく増加していることが確認され、さらにこの腫瘍内のTregが、MDSCなどのCD11b陽性細胞を制御していることを示唆する結果も得られた。具体的には、腫瘍内のTregは、細胞表面上にdeath ligandとして有名なFasLやTRAILの発現を増強させることが確認された。一方で、腫瘍内のCD11b陽性細胞は、death ligandの受容体となるdeath receptorを細胞表面上に発現増強することも確認された。すなわち、口腔癌の腫瘍組織内では、TregがTRAIL/TRAIL-receptorやFasL/Fasを介したCD11b陽性細胞におけるアポトーシスの誘導で、MDSCなどの数を制御していることが示唆された。これらの結果は、Tregが腫瘍局所内でMDSCをターゲットとした免疫反応に寄与していることを示唆するものであり、腫瘍組織内での免疫抑制性細胞集団の相互作用の解明が、今後の同分野の研究にとって重要となりうることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究成果として、マウスモデルを用いた解析で口腔癌局所におけるMDSCの存在が確認され、またTregとの相互作用が示唆された。治療戦略として、MDSCの制御には、Tregの解析が同時に必要であるという課題が明確化されたものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策としては、TregによるMDSCを含めたCD11b陽性細胞のアポトーシスの誘導機構における、death ligand/death receptorを介したメカニズムに注目する。具体的には、in vitroおよびin vivoでの解析において、それぞれの中和抗体を用いた解析を行い、その制御メカニズムを解明するとともに、それらの中和抗体の治療効果を解明する。
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Research Products
(2 results)