2011 Fiscal Year Annual Research Report
迅速かつ簡便な組織特異的遺伝子ノックダウンマウス作成法の開発
Project/Area Number |
23890073
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
大沢 匡毅 岐阜大学, 医学系研究科, 教授 (10344029)
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Keywords | 遺伝子改変マウス / ノックダウン / 色素細胞 / 遺伝子機能解析 |
Research Abstract |
ポストゲノム時代の生命科学の喫緊な課題は、遺伝子の生理的機能を解明することである。ヒトの疾患の多くが遺伝的要因によって引き起こされることから、遺伝子の生理的機能がわかれば疾患の分子的メカニズムが解明され、新たな治療法の開発が可能になる。遺伝子の生理的な機能を明らかにする最も確実な方法は、遺伝子改変マウスを作成し、その表現型解析から遺伝子の機能を決定することである。しかし、従来の遺伝子操作技術は煩雑で多大な時間と労力を要し、問題である。本研究課題では、表現型解析が容易な色素細胞系をモデル系として用い、ES細胞を用いた遺伝子操作技術と胚操作技術を組み合わせることで、迅速かつ容易に色素細胞特異的遺伝子ノックダウンマウスを作成する技術を開発することを目標とする。このために、我々は、色素細胞特異的にCre相同組換え酵素を発現する取Tyr-CreトランスジェニックマウスよりES細胞を樹立するとともに、このES細胞のRosa26遺伝子座特異的にFRTカセットをノックインした安定株を樹立した。これにより、遺伝子ノックダウンコンストラクトを簡便に導入するとともに、Cre相同組み換えによる色素細胞特異的な安定的遺伝子ノックダウンが可能になった。また、樹立したES細胞を、ポリビニールアルコールで処理した8細胞胚にインジェクションすることにより、FO世代でフルキメラマウスを得る技術を確立した。本遺伝子ノックダウンマウス作成技術の有効性を評価する目的で、メラニン色素合成酵素であるTyrosinase遺伝子に対するノックダウンコンストラクトをES細胞に導入し、8細胞胚に移植することにより、マウスを作成した。誕生したマウスは、FO世代で体毛色を消失し、我々が開発した手法の有効性が確認された。本遺伝子操作マウス作成技術を用いることで、体毛色変化を指標にして、迅速に遺伝子機能解析を行うことが可能になった。
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