2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23890076
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
村上 元 浜松医科大学, 医学部, 特任研究員 (70613727)
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Keywords | MHC / コカイン / 自己投与 / ドーパミン / 依存 |
Research Abstract |
初めに野生型マウス16匹中8匹に対し1週間のコカイン反復投与を、残りの8匹に対し対照群として生理食塩水の反復投与をおこない10日間の断薬後、それぞれのマウスから薬物依存に関わるとされる脳部位を取り出し定量的PCRによりMHCIの発現変化を比較した。その結果薬物依存に最も重要である脳部位でコカイン投与によりMHCIの発現が有意に変化することを明らかにした。またコカイン依存で中心的な役割を果たすドーパミンの制御に関わる分子群が有意に変化することも見出している。この結果は脳のあらゆる部位においてその基本的な機能を担っているMHCIが、コカイン依存特異的により重篤な影響を及ぼすことが示唆された。 更に我々が開発したマウスに対する自己投与系システムで野生型マウスとMHCI欠損マウスを合計64匹用いてコカイン依存を評価した。その結果MHCI欠損マウスでは野生型マウスに比べより重度のコカイン依存を示した。これらの結果は従来用いられていた薬物反復投与によるコカイン依存モデルでは検出できない因子であり、我々の自己投与システムを用いて初めて検出できたものである。更にこれらのマウスにおいても先と同様にMHCIの発現が変化することを見出している。これらの結果により本研究計画(1)、(2)はほぼ達成されたといえる。 更にMHCIが変化を示した脳部位のどの細胞に発現しているかを組織染色法で調べた。脳でのMHCIの発現は低く実験は困難を極めたが、様々な抗体、様々な染色手法を用いることにより神経細胞に特異的に発現していることを明らかにした。この結果はコカインが神経細胞のMHCIに直接影響する可能性を示唆しており、我々の研究により重要な意義が見出されることが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究が進むにつれ予定外の困難があったが無事乗り越えられた。一方で計画時では予想しなかったより重要な結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画はおおむね予定通り行う予定である。研究計画時ではコカインによるMHCIへの影響の細胞内信号伝達に重点を置いたが、現在まで得られた結果の重要性を確かなものにするため、MHCIが依存に与える機構を明らかにすることも明らかにしていく。
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