2012 Fiscal Year Annual Research Report
MEKのSUMO化によるERK経路の制御機構と発癌における異常の解明
Project/Area Number |
23890077
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
久保田 裕二 東京大学, 医科学研究所, 助教 (70614973)
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Project Period (FY) |
2011-08-24 – 2013-03-31
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Keywords | 癌 / ERK / Ras-MAPK症候群 / MEK / SUMO / MAPK |
Research Abstract |
申請者らは最近、MEKのSUMO化によるERK-MAPK経路の負の活性制御機構を発見し、また癌遺伝子Rasによるその破綻が発癌を促進する事を明らかにした。しかしながら、癌をはじめとした重篤な疾患で見られるERK経路の異常活性化機構については、未だ不明な点が多く残されている。 前年度の研究成果を基に、本年度は悪性黒色腫や大腸癌、Ras-MAPK症候群で新たに同定されたMEK点変異体に着目し、そのキナーゼ活性への影響と分子メカニズム、および細胞増殖・発癌への影響について、in vitro・in vivo両面から解析した。まず、各種MEK変異体のリコンビナント蛋白質を大腸菌発現系より精製し、in vitroにおけるERKリン酸化活性を測定した。その結果、これまでに検討した他のMEK変異体と同様、これら新規MEK変異体においても非常に強いERKリン酸化能が確認され、更にその活性が自身の活性化ループのリン酸化に依存しない事が明らかとなった。次に、in vitroでのMEK-SUMO化アッセイを行った所、これらMEK変異体のSUMO化効率が野生型MEKよりも著しく抑制されている事が分かった。また、これらMEK変異体をMEF(MEK1遺伝子欠損)に安定に発現させた細胞株では、その増殖率の有意な亢進が観察された。また、軟寒天培地におけるコロニー形成能を比較する事で、足場非依存性増殖能、即ち悪性形質転換効率を比較・検討した所、孤発性癌由来のMEK変異体を発現する細胞株では著明なコロニー形成率の増進が確認された。 以上の結果から、Ras-MAPK症候群や孤発性癌で観察されるMEK遺伝子の点変異は、二重の機構により細胞内で強い恒常的活性化能を獲得しており、ERK経路の正常な活性制御を破綻させる事で、個体の発生異常や発癌促進に寄与する事が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(4 results)