2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23890079
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
池野 正幸 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 医員 (70614486)
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Keywords | 幹細胞 / 培養上清 / 骨造成 / 頭頂骨 / ウサギ / チタン円筒 |
Research Abstract |
本実験は、ヒト骨髄間葉系幹細胞(human Bone Marrow Mesenchymal Stem Cells:hBMMSC)およびヒト乳歯歯髄幹細胞(Stem cells from Human Exfoliated Deciduous teeth:SHED)を用いて行った。hBMMSCは市販のものを使用し、SHEDは研究目的のために無償供与された検体から採取した細胞を用いた。10継代以下の細胞を用いて、シャーレ上に播種した細胞が80%以上コンフルエントになった時点で無血清培地に交換し、48時間後に回収した培養上清液(Conditioned medium:CM)を実験に使用した。hBMMSCおよびSHED由来CMの成分分析を行い、Elisa法にてVEGFなどの生理活性タンパク質が線維芽細胞などの他の細胞と比較して多く含まれていること、サイトカインアレイにて40種類以上のタンパク質が発現していることを確認した。次にin vivo実験モデルとしてウサギ頭頂部骨造成モデルにおける骨造成効果を評価した。ニュージーランドホワイトラビットの頭頂部骨膜を除去し骨表面を露出した後、直径6mmの溝を形成した。内部骨面に骨孔を作製した上で、直径6mm、高さ6mmの純チタン円筒をウサギ1個体につき4個設置した。円筒内に足場材料としてβ-TCPを充填した上で各CMを添加し、次のような実験群を設定した。実験群1:hBMMSC CM,実験群2:SHED CM,実験群3:無血清培地,対照群:生理食塩水。円筒上面を純チタン製の蓋で被覆し、閉創して終了とした。移植後8週において屠殺し、非脱灰標本を作製、トルイジンブルー染色して、円筒内部骨量を組織形態学的に比較評価した。その結果、hBMMSC CMおよびSHED CMで有意に骨造成量の増加が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
幹細胞培養上清中に含まれるタンパク質成分の分析およびウサギ頭頂部骨造成モデルでの検証は達成された。しかしながら、幹細胞培養上清による生理活性分析およびラット頭頂部骨造成モデルを用いた骨形成過程の評価については、分析方法および評価モデルの再考が必要となったため、当初の研究計画に比較して若干の遅れを認める。
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Strategy for Future Research Activity |
幹細胞培養上清に含まれる成長因子の骨造成過程における役割を明確にするため、細胞レベルでの生理活性(細胞増殖活性、骨分化誘導活性、アルカリフォスファターゼ活性)を明らかにする。また、骨造成効果増強のメカニズムを解明するために、ラット頭頂部骨造成モデルを作製し造成組織の解析を行う。また、既知の細胞表面マーカーを使用して組織標本の免疫組織染色を行い、造成組織における骨および血管形成の経時的な変化を捉える。さらに同モデルにて幹細胞移植による骨造成と比較することで、従来の幹細胞移植に取ってかわる方法となりうるかどうか評価する。これらの結果を踏まえた上で、最適な足場材料との複合化を行い、臨床応用に向けた提言を行う。
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Research Products
(1 results)