2011 Fiscal Year Annual Research Report
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23890085
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
久米 真司 滋賀医科大学, 医学部, 特任助教 (00452235)
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Keywords | 慢性腎臓病 / 肥満 / 老化 |
Research Abstract |
本研究は肥満患者の増加ならびに高齢化社会を背景に増加し続ける慢性腎臓病の病態を解明し、新たな治療標的分子を同定することにある。肥満マウスならびに加齢マウスに対し尿蛋白負荷尿細管間質病変モデルを作製すると若年非肥満マウスに比し尿細管間質病変の程度が有意に増加する。そこで、若年非肥満マウス、若年非肥満マウスに尿蛋白負荷を行った群、肥満マウスに尿蛋白負荷を行った群、加齢マウスに尿蛋白負荷を行った4群から摘出した腎における遺伝子発現をDNA maicroarray法を用い、肥満と加齢に伴う尿蛋白誘導性腎障害の増悪に関連しうる9つの候補遺伝子を同定した。さらに、これら9遺伝子に対するsiRNA(遺伝子発現)ならびに過剰発現レトロウイルスを作製し、培養尿細管細胞における抗炎症作用、抗細胞死作用を検討した。結果、9つの候補遺伝子のうち一つの遺伝子発現変化が蛋白尿類似刺激による近位尿細管細胞の炎症(炎症性サイトカインの増加)、アポトーシスを制御しうる遺伝子であることが明らかとなった。この新規遺伝子に対する近位尿尿細管特異的トランスジェニックマウスならびにコンディショナルノックアウトマウスの作製を行い、現在F2マウスまでの獲得に成功している。本実験により肥満や加齢に伴う尿細管間質病変悪化に関わる新規尿細管障害関連遺伝子の同定に至った。今後マウスでの病態への関わりを検討することで、同遺伝子の新規治療標的としての可能性を更に追求する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた細胞実験により新規尿細管障害関連遺伝子としての可能性を有する1遺伝子の同定に成功している。また、同遺伝子に対する近位尿細管特異的トランスジェニックマウスならびにコンディショナル(Flox)ノックアウトマウスの作製に成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に作製した新規尿細管関連遺伝子に対する遺伝子改変マウス(尿細管特異的トランスジェニックマウス、尿細管特異的ノックアウトマウス)における遺伝子発現を確認する。また、同遺伝子改変マウスに尿蛋白モデルを作製し、尿蛋白誘導性尿細管間質病変を惹起する。この際の尿細管病変の進展程度を比較検討し、同定遺伝子の発現増強あるいは発現抑制が尿細管間質病変の進展に及ぼす影響を結論づける。これまでに同様のモデルでの検討を行ってきており、本実験を進めるにあたり現時点で問題点はないと考えている。
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Research Products
(3 results)