2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23890088
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
茂谷 康 京都大学, 医学研究科, 研究員 (70609049)
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Keywords | 免疫学 |
Research Abstract |
DNA分解酵素であるDNase IIの欠損マウスでは、マクロファージ内でのDNAの蓄積により、TNF-αやIFN-β、CXCL10などのサイトカインが過剰に産生され、関節リウマチが引き起こされる。本研究は、DNAを認識する未知のセンサーを同定し、その機能解析を行い、関節リウマチの病態への関与を調べることを目的としている。昨年度はDNAを認識するセンサーを同定するため、発現クローニング法によるスクリーニングを行った。まずスクリーニングの系を構築するため、株化したDNase II欠損mousee embryonic fibroblastにCXCL10のプロモーターの下流でGFPが発現するレポータープラスミドを導入した。しかしながら、この細胞にDNAの刺激を与えてもGFPの発現は全く認められなかった。そこで、系の感度を上げるため、CXCL10の転写因子として知られているIRF3を細胞に強制発現させたところ、DNAに応答してGFPを弱く発現する細胞が認められた。この細胞に元々DNAの応答性が強いfetal liver macrophageより調製したcDNAライブラリー(レトロウイルスベクターに組み込んだもの)を導入し、DNA刺激後にGFPを強く発現する数パーセントの細胞集団をFACSにより分取した。分取後の細胞を増やし、DNAによる刺激、GFP強発現細胞の分取といった工程を数回繰り返すとDNAへの応答性が強い細胞集団がある程度濃縮された。その細胞集団を最終的にシングルセルに分けて調べてみると、DNAの刺激後にCXCL10やIFN-βの遺伝子発現が内在性レベルで顕著に上昇する細胞が見つかった。現在これらの細胞に挿入されたcDNAの同定を試みている。DNAセンサーを同定し、DNAの認識機構を明らかにすることで、関節リウマチの病態解明につながることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の研究計画は発現クローニングによるスクリーニングによってDNAセンサーを同定するところまでを予定していた。現在はスクリーニングによって見つかった細胞からcDNAを回収し遺伝子配列を決定する段階まで進んでいる。従って、おおむね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
DNAセンサーの同定に成功した場合、以下の実験を行う。 1、DNAセンサーによるDNA認識機構および下流へのシグナル伝達機構の解析 2、DNAセンサーの病理的および生理的役割の解明 もし、DNAセンサーを同定できなかった場合は、スクリーニングの過程でDNAに対する応答が非常に強い細胞の選別に成功しているので、そこから再度ライブラリーを作り直し、発現クローニングを行うことを予定している。
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