2011 Fiscal Year Annual Research Report
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23890100
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
橋本 香映 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (90612078)
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Keywords | 卵巣癌 / 腹膜播種 / SDF-1 |
Research Abstract |
1.ヒト卵巣癌細胞株の接着および浸潤能に対するSDF-1(stromal cell derived factor-1)の効果の検討ヒト卵巣癌細胞株SKOV3およびTOV21Gはマウス腹腔内に移植することによって、腹膜播種病変を生じる。まず、これらの細胞株のSDF-1レセプターであるCXCR4発現をFACSを用いて検討した。また低酸素刺激によってその発現に変化が生じるかどうかも検討した。SKOV3およびTOV21Gはともに正酸素下でCXCR4を発現しており、その発現量は低酸素刺激によって変化しなかった。次にrecombinantmouseSDF-1がこれらの細胞株の接着能、浸潤能に与える影響をin vitro adhesion assayおよびin vitro adhesion assayを用いて検討した。SKOV3およびTOV21はともにSDF-1刺激により、接着能・浸潤能の亢進を認めた。 2.SDF-1分泌細胞の同定 卵巣癌腹膜播種モデルマウスより摘出した腫瘍切片を用いて、SDF-1を分泌している細胞は何であるかを検討した。摘出腫瘍切片をSDF-1と宿主細胞(血管内皮細胞、線維芽細胞、腹膜中皮細胞)表面マーカーで二重染色し共発現している細胞は何であるか検討した。SKOV3移植マウスの腫瘍切片においてSDF-1とα-SMAが共発現しておりSDF-1分泌細胞は線維芽細胞あるいは血管周皮細胞であることが推測された。一方、TOV21G移植マウスの腫瘍切片においては腫瘍そのものがSDF-1によって染色され、卵巣癌細胞そのものがSDF-1を分泌していると考えられた。このことを確認するために、SKOV3およびTOV21Gの培養上澄でのヒトSDF-1の量をELIZA法にて検討したところ、SKOV3細胞ではSDF-1は感度以下であったが、TOV21Gでは分泌が確認された.これらのことよりSDF-1は腫瘍細胞および線維芽細胞あるいは血管周皮細胞から分泌され、卵巣癌の浸潤、転位に促進的に働くと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
SDF-1中和抗体による卵巣癌腹膜播種モデルに対する治療効果を検討する予定であったが、抗体投与量の設定に難渋しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
SDF-1中和抗体による腹膜播種抑制効果の検討以外の項目については、当初の計画にそって研究を継続する。 中和抗体による検討に関しては、自作の中和抗体を用いて他癌での報告を行っている施設との共同研究を検討する。
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