2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23890105
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
近藤 里 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (40610861)
|
Project Period (FY) |
2011-08-24 – 2013-03-31
|
Keywords | 歯学 / 生理学 / リハビリテーション |
Research Abstract |
筋強直性ジストロフィー(MyD)は疾患の進行とともに高頻度で嚥下障害が出現する.嚥下障害は,栄養不良の原因となるだけでなく,窒息や誤嚥などを引き起こす可能性があり,生命予後に大きく影響する.そこで本研究では,MyD患者の硬口蓋部における嚥下時舌圧を測定し,健常者との比較を試みた.また,特徴的な高口蓋の影響について検討を行った. 被験者はMyD患者11名とした.舌圧の測定には舌圧センサシートを使用し,5箇所(口蓋正中前方部:Ch1,中央部:Ch2,後方部:Ch3,左右後方周縁部:Ch4,5)の水嚥下時舌圧を記録した.その結果,MyD患者では舌圧発現順序のばらつきが非常に大きく,約半数で口蓋正中部において舌圧発現が認められないChがあった.舌圧持続時間はCh1,2で短く,舌圧最大値は全Chで小さく,舌圧積分値はCh1,2,3,5で小さかった.口蓋形態は幅が有意に小さく,Ch2,3の舌圧最大値と深さとの間に強い負の相関を認めた. 以上より,MyD患者では健常者と異なる嚥下時舌-口蓋接触様相が生じていることが明らかとなり,その背景として舌の筋力低下とともに,疾患に特徴的な口蓋形態が関連していることが示唆された.健常者と口蓋の深さに差がなかったMyD患者は,正中部の舌圧発現の順序性だけでなく発現自体の喪失が見られたこと,持続時間がCh1,2で短く,最大値および積分値はほぼ全てのChで小さかったこと,口蓋の深さと舌圧最大値との間に負の相関を認めたことなどから,口蓋形態よりも舌の筋力低下が強く関与していることが疑われた. 嚥下障害の臨床症状が顕在化していないMyD患者において,こうした嚥下時舌-口蓋接触様相に異常が認められたことから,舌圧測定によって潜在的な嚥下障害を早期に診断し,食品性状の調整や舌接触補助装置の適用など,必要な対策を講じる上で有用な情報が得られることが示唆された.
|
Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|