2011 Fiscal Year Annual Research Report
炎症性骨破壊過程におけるアデノシンの骨免疫制御機構
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23890110
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
竹立 匡秀 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (60452447)
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Keywords | 歯周炎 / 骨免疫 / 炎症性骨破壊 / アデノシン |
Research Abstract |
本研究課題では、プリン代謝産物の一つであるアデノシン(Ado)に着目し、骨代謝の炎症性制御における役割について解析をすすめている。平成23年度の研究成果について下記に報告する。 まず、内因性アデノシン産生酵素であるCD73分子のノックアウトマウスおよび野生型マウスにPorphyromonas gingivalis(W50株、以下P.g.)を3日毎に10回経口感染させることにより、実験的歯周炎モデルを樹立した。μCTを用いた解析から、野生型マウスにP.g.を経口感染させることにより、有意な歯槽骨の吸収を認めた。CD73ノックアウトマウスでは、野生型マウスに比べ骨吸収量が増大している傾向があった。現在、定量的な解析を行うとともに、組織学的な解析を行うことによりCD73および同分子によって産生されたAdoが歯周炎における炎症性骨吸収過程にどのような役割を担っているのかについて解析をすすめている。 また、免疫組織学的な解析からCD73分子の発現が骨膜に認められることが明らかとなった。そこで、CD73ノックアウトマウスの頭蓋骨から骨芽細胞を単離し、同分子が骨芽細胞機能に担う役割について検討した。CD73分子の発現は、骨芽細胞の分化に伴い上昇することが、mRNAおよびタンパクレベルで明らかとなった。さらにCD73ノックアウトマウス由来骨芽細胞では、分化に伴うアルカリフォスファターゼ活性の上昇や石灰化ノジュール形成が抑制されたことから、CD73分子が骨芽細胞の分化を促進的に制御していることが明らかとなった。現在、骨芽細胞に由来する破骨細胞分化制御因子であるRANKLおよびOPGの発現について解析をすすめており、CD73分子の破骨細胞分化支持機能に及ぼす影響を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年予定していた研究計画のなかで、P.g.経口感染によるマウス歯周病モデルを構築し、CD73ノックアウトマウスを用いて解析を開始しており、また、in vitroにおいて、骨芽細胞の初代培養を行い、破骨細胞との相互関係を検討する準備が整いつつある。ほぼ計画通りに進行していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
炎症性骨吸収モデルとしてTNF-alpha誘導性頭蓋骨骨吸収モデルを加え、複数の方法でCD73に由来するアデノシンが炎症性骨疾患で担う役割を解析する。 in vitroの解析では、炎症性サイトカインが骨芽細胞のアデノシン代謝やアデノシン受容体の発現に及ぼす影響を解析し、内因性アデノシンの炎症性骨代謝に及ぼす影響を解析する。
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Research Products
(2 results)