2011 Fiscal Year Annual Research Report
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23890124
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
奥井 達雄 岡山大学, 大学病院, 医員 (40610928)
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Keywords | mTOR / HSP90 / 癌血管新生 |
Research Abstract |
口腔癌の進展過程において,腫瘍周囲への血管新生は治療法の選択,手術範囲の決定において重要な因子であり、予後を左右する負の要因となっている。申請者はHeat Shock Protein 90(HSP90), mammalian Target of Rapamycin (mTOR)シグナルが下流のVascular Endotherial Growth factor (VEGF)を活性化することにより口腔扁平上皮癌の増殖ならびに血管新生に関与する事を見いだした。この結果をもとに申請者はmTOR,HSP90阻害薬による新規分子標的治療法を検討することとした。申請者はHSP90,mTOR選択的阻害薬Temsirolimus,NVP-AUY922を用いることで口腔扁平上皮癌の増殖が抑制されると同時にVEGF発現が抑制されることを報告した。さらに申請者はTemsirolimus,NVP-AUY922を用い癌血管新生においてHSP90,mTORの働きの一部を明らかにした。HSP90は多くのclient proteinを有しており,この中には血管内皮細胞上のVEGFR2も含まれる。HSP90阻害薬NVP-AUY922はmTOR阻害薬であるTemsirolimusと同調して血管内皮細胞の管腔形成を抑制した。このメカニズムはNVP-AUY922が血管内皮上のVEGFR2の発現を抑制し,それによりMMP2の発現を抑制することが関与すると考えられた。またHSP90はAktのclient proteinであるためin vitroにおいてNVP-AUY922がmTOR阻害薬Temsirolimusの非Akt依存性の抗悪性腫瘍効果を増加させた。上記のようにTemsiroimusとNVP-AUY922は異なるシグナル伝達阻害薬でありながらそれぞれの抗悪性腫瘍効果を増強し合っている。これにより分子標的治療薬の容量を減量させることが可能となり,分子標的治療における最も重要な有害事象である骨髄抑制などの副作用を軽減させる可能性がある。次年度は動物実験におけるNVP-AUY922とTemsirolimusの抗腫瘍効果の検討を継続し,新規分子標的治療法開発に向けた研究を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験計画を適宜検討し当初の計画に沿うよう研究を遂行した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は当初の予定通り,in vivoにおける検討を主とする。本研究は最終的に新たな分指標的治療法を確率するための前臨床研究であるため,薬剤の投与方法等実際の臨床に即した濃度,タイミングで行われる必要がある。また腫瘍に対する有効性だけで無く,副作用の検討も必須である。
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Research Products
(2 results)