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2011 Fiscal Year Annual Research Report

ポリリン酸を用いたインプラント周囲炎治療法の確立を目指した研究

Research Project

Project/Area Number 23890134
Research InstitutionHiroshima University

Principal Investigator

原田 佳奈  広島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 特任助教 (90609744)

Keywordsポリリン酸 / マクロファージ / 炎症 / インプラント
Research Abstract

インプラント治療の長期的成功を阻害する原因であるインプラント周囲炎では、細菌感染によるインプラント周囲粘膜の炎症に続いて、顎骨の吸収が引き起こされる。インプラント周囲炎の治療法としては、現在のところ、プラークコントロールの徹底しかないが、プラーク除去のみでは損傷を受けた組織の自然治癒に時間がかかり、再感染により病態が慢性化することが多い。一方、数個から数百個のリン酸が結合した分子であるポリリン酸は、骨を含めて組織の再生を促進する作用をもつことから、インプラント周囲炎治療への応用が期待できる。しかし、炎症の病態形成において重要な役割を果たすマクロファージに対して、ポリリン酸がどのような影響を与えるのか全く不明である。グラム陰性菌の細胞壁構成成分であるリポポリサッカライド(LPS)により活性化されたマクロファージは、多量の炎症メディエーター、骨吸収促進因子(TNF、一酸化窒素(NO)など)を放出する。本年度の研究では、ポリリン酸が、LPSで刺激したマクロファージにおける誘導型NO合成酵素(iNOS)の発現を顕著に抑制することを見出した。このiNOS発現抑制作用はポリリン酸の鎖長が長いほど強く、平均鎖長130リン酸以上のポリリン酸で最大となった。さらに、iNOS発現抑制に伴い、ポリリン酸はマクロファージからのiNOSの放出を抑制した。一方、iNOS/NO実験と同条件で検討した限りでは、ポリリン酸はLPS刺激マクロファージからのTNF放出に影響を与えなかった。これらの結果から、ポリリン酸は組織再生促進作用に加えて、少なくとも一部、抗炎症作用も示すことが明らかとなり、インプラント周囲炎治療に有効である可能性が高められた。また、iNOS発現抑制作用が最大となるポリリン酸の鎖長を明らかにできたことは、ポリリン酸を用いたインプラント周囲炎新規治療法の確立に向けて、有用な知見であると考えられる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

ポリリン酸の新規作用として、マクロファージにおけるLPS誘発iNOS発現を抑制する作用を見出した。さらに、iNOS発現抑制に最も適したポリリン酸の鎖長を決定することができ、インプラント周囲炎の新規治療法確立に向けて知見が蓄積されつつあるため。

Strategy for Future Research Activity

本年度の検討により、ポリリン酸は、マクロファージにおける炎症メディエーターの産生に対して、少なくとも一部、抑制作用を示すことが明らかとなった。今後は、抗炎症メディエーター、骨吸収抑制因子(IL-10など)に焦点をあて、マクロファージによるこれらの物質の産生に対して、ポリリン酸がどのような影響を及ぼすのか明らかにする。また、マクロファージの生存に与えるポリリン酸の影響を検討し、ポリリン酸がマクロファージの細胞数調節を介して炎症を制御する可能性を探る。これらの検討により、マクロファージに対するポリリン酸の作用を多角的に解明し、インプラント周囲炎新規治療法の確立に向けての知見を集積する。

  • Research Products

    (1 results)

All 2012

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] ミクログリアのToll-like受容体4活性化に対する異なる細胞反応とプリン受容体を介した調節2012

    • Author(s)
      秀和泉
    • Organizer
      第85回日本薬理学会年会
    • Place of Presentation
      京都市
    • Year and Date
      2012-03-16

URL: 

Published: 2013-06-26  

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