2011 Fiscal Year Annual Research Report
樹状細胞とT細胞の相互作用におけるロイコトリエンB4の役割の解明
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23890146
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
古賀 友紹 九州大学, 医学研究院, 特任助教 (30615092)
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Keywords | LTB4 / BLT1 / 樹状細胞 / 免疫応答 / T細胞 / 生理活性脂質 |
Research Abstract |
ロイコトリエンB4(LTB4)は、主に白血球において産生され、好中球、マクロファージをはじめとした炎症細胞を活性化することで知られる生理活性脂質である。その受容体であるBLT1は骨髄系細胞に多く発現しており、炎症反応に深く関わっている。しかしながら近年、BLT1がリンパ球や樹状細胞(DC)にも発現し、免疫反応にも深く関わることが示唆されている。我々はBLT1を世界に先駆けて遺伝子同定し、BLT1遺伝子欠損マウスの解析を通じて、LTB4-BLT1がTh1およびTh2免疫応答の両経路を促進することを明らかにしてきた。このLTB4-BLT1による免疫反応促進作用は、古典的なTh1/Th2バランスの制御では説明できず、DC-T細胞免疫応答におけるLTB4の役割については不明な点が多い。そこで本研究では、LTB4による免疫反応制御機構の解明を目的とし、DCとT細胞の相互作用におけるBLT1の役割に着目し研究を遂行している。平成23年度は、DC-T細胞間の物理的接触をモニタリングする系の構築とBLT1 conditional knockoutマウスの作製が主な実験目標であった。当初予定していた多検体対応型タイムラプス蛍光顕微鏡を用いたアッセイは、T細胞がプレートに張り付かないために、プレートが動くタイプの顕微鏡では、細胞をうまくトラッキングできないという問題が生じた。そこで、フローサイトメトリーを用いて免疫シナプス形成を解析する方法を考案した。このアッセイの結果から、BLT1はDCにおいて、抗原依存的な免疫シナプス形成を促進することが明らかになってきた。一方で、マウスリンパ節由来支持細胞をT細胞の下に播くことで、T細胞の張り付きの問題を解決でき、多検体対応型タイムラプス蛍光顕微鏡を用いたアッセイも構築のメドがたってきた。また、ノックアウトマウス国際耳ンソーシアムからloxP-BLT1 ES細胞を入手し、胚盤胞へのインジェクションを行った。現在、キメラマウスが得られている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
T細胞浮遊により多検体対応型蛍光顕微鏡を用いたアッセイの構築はやや遅れているが、FACSを用いて別のアッセイを立ち上げることができたので、DC-T細胞接触におけるBLT1の役割を徐々に明らかにすることができた。また、リンパ節支持細胞を用いることによりT細胞浮遊の問題を解決できるメドがたったため、異なる方法で確認する準備もできている。また、細胞特異的BLT1ノックアウトマウス(BLT1 cKO)作製のためのキメラマウスも順調に生まれているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、引き続きBLT1 cKOマウスの作製を行いながら、作製が完了した時点で、in vivoでのアッセイを進めて行く。また、問題が生じていた多検体対応型タイムラプス蛍光顕微鏡のアッセイの構築もリンパ節支持細胞を用いることで解決できそうである。また、DC-T細胞コンタクトにおけるBLT1の促進的な役割を説明できるメカニズムを、WTDC、とBLTIKODCとのマイクロアレイデータから出てきた候補分子を選定し、その寄与を解析して行く。
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Research Products
(4 results)