2011 Fiscal Year Annual Research Report
Interferon Regulatory Factor(IRF)をターゲットとしたミクログリアによる神経障害性疼痛発現メカニズムの解明
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23890148
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
増田 隆博 九州大学, 薬学研究院, 学術研究員 (80615287)
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Keywords | ミクログリア / 神経障害性疼痛 / IRF / 転写因子 |
Research Abstract |
ミクログリア細胞に対してIRF8分子を強制発現させ、他のIRF転写因子ファミリーの発現変化を検討した。その結果、IRF8の発現増加に伴い、IRF1,IRF5,IRF7およびIRF9の顕著な発現増加が観察された。そこで、生体内(in vivo)でもこうした発現制御メカニズムが機能しているか否か検討するため、既に脊髄ミクログリアにおいてIRF8の発現増加が観察されることを明らかにした神経障害性疼痛モデル動物を用いて検討を行った。その結果、野生型マウスの脊髄内ではIRF1,IRF5,IRF7およびIRF9の発現増加が観察されたが、IRF8欠損マウスの脊髄内においては、これら因子の発現増加がほぼ完全に消失した。そこで、特に顕著な発現変化が観察されたIRF5に関して、in situ hybridization法を用いて脊髄における発現細胞種の特定を行った。その結果、ミクログリアが細胞種特異的にIRF5を発現していることが明らかになった。次に、培養細胞を用いてshRNAによるノックダウン実験を行い、IRF5の機能解明を試みた。その結果、IRF8の強制発現によって発現講導されたP2X4受容体やIL-1βなど様々なミクログリア機能分子は、IRF5の発現抑制に伴って、顕著に抑制された。以上の結果から、神経損傷後、脊髄ミクログリアで発現増加したIRF8は、IRF5など他のIRFファミリー転写因子の発現増加を介してミクログリアを活性化状態へと移行させていると考えられる。本研究は、神経障害性疼痛を含めた種々の中枢性疾患発症に寄与していることが明らかになっているミクログリアの活性化状態への移行に重要な役割を果たしている細胞内シグナルとしてIRF転写因子ネットワークを特定したという点で非常に有用な研究であり、神経障害性疼痛の全容解明に向け、大きく前進することが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の研究計画内容と照らし合わせ、ほぼすべての研究計画を実行していると共に、想定していた結果(もしくはそれ以上)が得られていることから、順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画を作成する際、熟考を重ねたこともあり、これまで得られた結果はほぼ想定内のものであることから、平成24年度も当初の研究計画に沿った内容で遂行する予定である。
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