2011 Fiscal Year Annual Research Report
IL-23及びTh17経路が腸管平滑筋収縮機能に与える影響とその作用機序
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23890149
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伊原 栄吉 九州大学, 大学病院, 助教 (80612390)
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Keywords | IL-23 / 腸管平滑筋 / K^+脱分極刺激 / MLCK / MLCP / カルバコール / alpha-toxin |
Research Abstract |
本研究は、IL-23が腸管平滑筋収縮性またはCa^<2+>感受性に与える影響とその作用機序の解明を目的とした。まず当研究室における腸管平滑筋組織培養法を確立した。ラット回腸組織を取り出し、無菌下に粘膜下層等を剥離し回腸平滑筋組織を得た。それらを、抗生物質、抗真菌薬及びL-alanyl-L-glutamineを入れた培養液にて3日間組織培養した。組織培養した平滑筋条片は、新鮮平滑筋条片とほぼ同様の収縮性を保っていた。次にIL-23が回腸平滑筋収縮性に与える作用を検討するため、recombinant IL-23投与下及び非投与下条件にて3日間組織培養を行った。それぞれの条件下で、回腸縦走平滑筋条片を作成し、そのK^+脱分極刺激に対する収縮性及びカルバコール(CCh)に対する収縮性を評価した。一般に、平滑筋収縮程度はミリMLC_<20>のリン酸化レベルに依存し、MLCKとMLCPの力関係により決定される。K^+脱分極刺激による収縮は、電位依存性Ca^<2+>チャネル活性化による細胞内Ca^<2+>濃度([Ca^<2+>_i)上昇に引き毬く、C^<2+>/カルモジュリン/MLCK上経路を介した[Ca^<2+>]_iに規定される収縮である。一方、CCh収縮は、それらの経路に加え、-[Ca^<2+>]_iに依存しないMLCP制御を介した収縮で、すなわちCa^<2+>感受性を引きおこす。IL-23処理した平滑筋条片において、K^+脱分極刺激による収縮は、コントロールと比較し有為に低下した(5.0mNv.s.8.3mN)。一方、IL-23処理は、CCh収縮反応については影響を与えなかった。次にα-toxin処理、回腸平滑筋脱膜下標本を作成し、IL-23がCChによるCa^<2+>感受性に与える影響を検討した。その結果、IL-23は、CChによるCa^<2+>感受性に影響を与えなかった。以上より、II、・23は電位依存性Ca^<2+>チャネル活性化に始まるCa^<2+>/カルモジュリン/MLCK経路に作用し、腸管平滑筋収縮性を低下させることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書の計画通りに、当研究室のおける組織培養法の確立した後、その組織培養法を用いたIL-23の腸管平滑筋収縮性に与える影響の検討とほぼ計画通りに進行していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果にて、IL-23は電位依存性Ca^<2+>チャネル活性化に蛉まるCa^<2+>/カルモジュリン/MLCK上経路に作用し、腸管平滑筋収縮性を低下させることが明らかとなった。しかし、その根拠としては、まだ十分でない。今後は、研究結果をより信頼できるものにするため、平滑筋張力測定に加えて、平滑筋ミオシンリン酸化レベルの測定、細胞内Ca^<2+>濃度測定による電位依存性Ca^<2+>チャネルの機能評価及び電位依存性Ca^<2+>チャネル発現レベルの評価などを追加していく。
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