2011 Fiscal Year Annual Research Report
質量分析を用いた肝細胞癌における癌幹細胞特異的なバイオマーカーの解明
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23890164
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
土居 浩一 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 特任助教 (40608858)
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Keywords | Side population細胞 / 肝細胞癌 / 質量分析法 |
Research Abstract |
今研究の目的は、肝細胞癌においてSide population細胞=癌幹細胞と仮定し、Side population (SP)細胞特異的なマーカーを同定することである。我々はまず、7株の肝細胞癌細胞株(HepG2, PLC/PRF/5, HuH1, HuH7, HLE, HLF, SK-Hep-1)よりSP細胞の蛋白抽出を行った。SP細胞として分離可能な細胞は6株(HepG2, PLC/PRF/5, HuH1, HuH7, HLE, HLF)であった。このうち特性の異なる4株、すなわち高分化細胞であるPLC/PRF/5とHuH1細胞と、低分化細胞株であるHLEとHLFを用いてSP細胞およびMajor polulation (MP)細胞を分離し、それぞれ蛋白抽出後、蛋白レベルでの発現分布を比較した。CBB染色で比較すると、66kDaの高さにSP細胞で発現が非常に高いバンドを確認し、すべての細胞に共通する発現パターンであった。このバンドをゲルよりカットし精製後、熊本大学病態情報解析学にて質量分析法(qTOF-MS/MS解析)で同定を試みると、可能性が高い候補としてAlbuminとTCP1の2つの蛋白が同定された。それぞれ抗体を準備し、Western法にて発現分布を確認すると、いずれもバンドの高さは一致するものの、SP細胞>>MP細胞の発現パターンとは一致せず、CBB染色結果とは異なる結果であり、同定された蛋白が目的の蛋白とは異なる可能性が考えられ、方法の見直しが必要と考えられた。また、SP細胞の幹細胞性を確認する方法として、SP細胞とMP細胞からそれぞれRNAを抽出し、癌幹細胞マーカーの発現や薬剤耐性遺伝子の発現をmRNAレベルで比較を行った。その結果、SP細胞でEpCAM,CD90,CD44が高値を示し、またABCG2(BCRP)遺伝子やABCB1(MDR1)遺伝子が高発現しており、癌幹細胞集団としてのqualityは部分的ではあるものの確認できている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的通りの方法で結果は得られたものの、改良の余地が残る結果であり、方法(特に質量分析)の確認中である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の問題点としては、質量分析で得られた候補蛋白の数が予想よりはるかに少なく、質量分析器の安定性や結果の再現性の検証が必要と考えられた。また、蛋白同定の手法として、N-terminal sequenceによる候補分子の検索やSELDI-TOF/MSによる詳細な質量の検証など、多角的な同定作業も必要と考えられた。
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