2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23890188
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
山下 亜矢子 岡山県立大学, 保健福祉学部, 助教 (90614363)
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Keywords | 女性アルコール依存症 / 依存症治療 / 地域支援 / 性差医療 |
Research Abstract |
本研究の目的は,女性アルコール依存症患者が依存症治療に至るまでの過程を明らかにし,早期介入に必要な支援を検討することである。 今回,自助グループに所属している女性アルコール依存症患者12名を対象に,半構成的面接法によるグループインタビューからデータを収集し,質的帰納的分析を行った。 その結果,依存症治療への初期治療までの導入において,自ら受診した事例は1事例のみであり,他の事例では自発的な依存症医療への受診が行われていなかった。女性アルコール依存症患者が依存症医療への受診が困難となりやすい要因として,【世間と自らの依存症への偏見】の存在や,女性アルコール依存症患者が経験している【相談機関と医療機関の情報不足】【身体合併症治療から依存症治療への困難感】【嫁という役割からの受診困難感】【地域での個人情報流出の不安】などの要因が明らかとなった。女性アルコール依存症患者は,治療に対する必要性や治療機関に対する情報不足を抱え,依存症への偏見や嫁という役割から役割葛藤が生じ,家族を配慮した治療への参加しづらさがあることからも,受診困難感が生じていた。家族の要因としては,アルコール依存症や精神科病院の治療に対する偏見やこれらから生じている世間体を気にした受診の遷延化があった。 女性アルコール依存症患者への早期介入には,アルコール依存症に対する偏見の払拭や自ら安心して相談や治療につながるための情報提供体制の整備,医療機関における連携強化が必要であるため,これらを考慮した地域支援体制の構築を提言したい。なお,今後は本研究結果を更に分析するとともに,全国におけるアルコール依存症における性差医療や地域支援体制を調査し,女性アルコール依存症患者への回復支援に関する具体策を確立したいと考える。
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