2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23890207
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
谷口 誠 昭和大学, 歯学部, 助教 (50611175)
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Keywords | Two-component system / Streptococcus mutans / リン酸化解析 / リポタンパク質 / 環境適応 |
Research Abstract |
齲蝕発症には齲蝕細菌(Streptococcus mutans)の歯面定着が深く関与しているが、これにはTwo-componentsystem(TCS)による環境適応が重要な役割を担っていると考えられている。しかしTCSの詳細はほとんど明らかにされていない。我々はTCSの構成成分であるセンサーキナーゼ(HK)とレスポンスレギュレータ(RR)の情報伝達ネットワークの解明を試みることにした。そのため、本年度は以下のような研究を行った。 (1)S.mutans UA159株(野生株)には約14種類のTCSの存在が示唆されているが、それぞれのHKおよびRRの欠損株、合計28種をdouble-crossover法にて作製することに成功した。中には過去の報告で欠損株が作製できないとされているRRの一つ(VicR)についても欠損株の作製に成功し、網羅的解析に大いに役立つことと考えている。現在、その作製した欠損株の環境適応に関する機能変化について解析を行っている。 (2)リン酸化タンパク質のwestern blot法、二次元電気泳動、TOF-MAS解析を用いた定量を検討しているが、その準備として、代表的なTCSであるCiaRHシステムのHK(CiaH)とRR(CiaR)のGST融合組換えタンパク質を作製することにした。本年度それぞれを発現するベクター(pGEX-CiaHおよびCiaR)を構築することに成功した。現在、大腸菌BL21株に組換えタンパク質を発現させ、グルタチオンカラムを用いた精製条件を検討している。精製条件が整い次第、大量精製に移る予定である。 (3)リン酸化検出に適した抗体や精製カラムを検討し、リン酸化反応の検出や定量を行えるように準備を進めている。市販のリン酸化タンパク質抽出カラムや検出試薬のほとんどは、リン酸化セリン、スレオニンを対象とするものがほとんどであり、TCSでリン酸化されるヒスチジンやアスパラギン酸のリン酸化検出に適するものは少ない。その中で見出したPhos-Tagシステムが我々の研究に適するか検討を始めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
各TCS欠損株(28種)の作製およびCiaR、CiaHの組換えタンパク質発現用ベクター構築、組換えタンパク質精製条件の検討に時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
作製した各欠損株の形質変化の解析を継続して行う。また野生株および各欠損株から、細胞膜画分と細胞質画分とを回収し、それぞれからリン酸化タンパク質を抽出する。抽出したリン酸化タンパク質は二次元電気泳動およびTOF-MAS解析によって同定および定量を行い、TCSのシグナル伝達経路の網羅的解明を試みる。
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