2011 Fiscal Year Annual Research Report
毛包に存在する神経堤由来細胞による上皮-間葉の接触を制御した歯胚再生技術の構築
Project/Area Number |
23890209
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
宮内 知彦 昭和大学, 歯学部, 助教 (20611502)
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Keywords | 細胞分化・組織形成 / 再生医学 / 分子生物学 / 口腔生化学 / 再生歯学 / 神経堤細胞 / スフェロイド培養 / エナメル芽細胞 |
Research Abstract |
現在、喪失した口腔機能の回復は義歯やインプラントによる歯科治療が施されるが,将来の医療として歯の再生が期待されている.臨床応用を目指した歯の再生医療には, 1)歯原性細胞以外で, 2)容易かつ低侵襲に採取でき, 3)歯を喪失するような大人からも得られる細胞ソースの検索が重要と考え、私たちは、成体になっても体内各所に存在し、一部多分化能を維持する神経堤由来細胞を細胞ソースとして研究に取り組んでいる。これまでに,毛包に存在する神経堤由来細胞を純化、細胞増殖ならびに象牙芽細胞への分化誘導について解析してきた. 本研究課題は、毛包の神経堤由来細胞を間葉系細胞ソースとしたスフェロイド培養と,光学リソグラフィーを応用した上皮系細胞パターン培養を組み合わせた歯の再生技術の確立を目的に計画された.平成23年度,PO-Cre/CAG-CAT-EGFP成体マウス毛包から純化した神経堤由来細胞のスフェロイド培養,ならびに継代による長期培養においても増殖し,神経堤細胞関連遺伝子の発現が認められたことから,培養条件により未分化な状態を維持し増殖可能なことが明らかになった.哺乳7日齢ICRマウス下顎切歯唇側エナメル上皮から分離・培養したエナメル芽細胞は、培養経過に伴いアメロゲニンのmRNA発現が低下し、カリクレイン4の発現が上昇する生体を反映する培養系であった。このエナメル芽細胞培養系と、毛包の神経堤由来細胞の共存培養によって、それぞれの細胞における相互作用についてmRNA発現ならびにタンパク質レベルで解析している. 平成24年度以降、光学リソグラフィーを応用したパターン培養基盤上でエナメル上皮細胞や口腔粘膜上皮細胞を培養し,細胞の配置や領域を規制して培養し,さらに神経堤由来細胞との共存培養によって形成された上皮-間葉スフェロイドをマウス口腔上皮下に移植後、経時的に周囲組織との反応について解析する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では23年度中に光リソグラフィーを応用した上皮系細胞のパターン培養の実験系・上皮-間葉スフェロイドの作製に着手している予定であったが,研究初期にPO-Cre/CAG-CAT-EGFP成体マウスの毛包から純化した神経堤細胞から安定したスフェロイドが得られなかったため,いずれの実験にも現段階では着手できていない.
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Strategy for Future Research Activity |
PO-Cre/CAG-CAT-EGFP成体マウスの毛包から純化した神経堤細胞から安定したスフェロイドが得られなかったため,研究計画よりも遅れているが,現在は安定したスフェロイドが得られるようになったため,今後は計画通りに遂行可能であると考える.光リソグラフィーを応用したパターン培養では使用する細胞によってパターンの大きさや間隔など,最適な条件が異なると考えられるので早期に条件の探索を行う必要がある.
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