2011 Fiscal Year Annual Research Report
唾液腺に発現するジアゼパム結合阻害因子(DBI)を介した口腔乾燥の分子機構
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23890213
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
塚越 絵里 東京歯科大学, 歯学部, 非常勤講師 (60615384)
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Keywords | 唾液腺 / ベンゾジアゼピン受容体 / ジアゼパム / 遺伝子 |
Research Abstract |
これまでに、口腔乾燥の成因に関する研究について、中枢型ベンゾジアゼピン受容体(CBR)と末梢型ベンゾジアゼピン受容体(PBR)が唾液分泌の抑制性調節機構を構成する因子として唾液腺に存在することを報告してきた。我々は近年、それら受容体に対する内因性リガンドであるジアゼパムバインディングインヒビター(DBI)が唾液腺に存在し、DBIが抑制性調節機構に関与する内因性物質として唾液分泌抑制に関係することを報告した。本研究の目的は、唾液腺でのDBI関連遺伝子であるPAC1-R、CYP11A1の存在を明らかにし、ラットにジアゼパムを投与した時のDBIとDBI関連遺伝子(PBR、PAC1-R、CYP11A1)の変動を調べ、さらに各唾液腺組織で細胞レベル(腺房細胞・管上皮細胞)におけるDBI、PBR、PAC1-R、CYP11A1の発現動態を解析し、関連する遺伝子の相互作用を明らかにすることである。 本年度の研究実施計画は、ラットの唾液腺組織におけるPAC1-R、CYP11A1の遺伝子の発現を調べ、ジアゼパム投与によるモデルラットを作成した時のDBIとDBI関連遺伝子(PBR、PAC1-R、CYP11A1)の変動を調べることである。PAC1-R、CYP11A1の遺伝子の発現については、ラットの唾液腺組織において存在が確認された。また、ジアゼパムを14日間に亘り投与されたラットの唾液腺組織において、DBIとDBI関連遺伝子(PBR、PAC1-R、CYP11A1)の遺伝子量が増加したこと、その時の唾液分泌量が減少したことがわかった。 これらの結果により、DBIやDBI関連遺伝子の唾液腺での存在が証明され、ジアゼパムにより産生が促進されたことにより、ベンゾジアゼピン受容体の感受性および機能が修飾され、唾液分泌の抑制(ベンゾジアゼピン誘発性の口腔乾燥の発現)が起きたと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画に従って、予定通り研究は進み結果が得られている。また本研究結果を学会にて発表することができた。現在、タンパク質量の変化の検索、組織解析を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
さらに今後、各唾液腺組織で細胞レベルでの遺伝子の発現動態を解析することにより、産生細胞を明らかにすることができ、唾液の分泌経路となる唾液腺管の管上皮部で分泌されるのか、腺房部で分泌されるのかを明らかにすることができる。レーザー・キャプチャード・マイクロダイセクション(LCM)法にて、ラット唾液腺細胞(腺房細胞・管上皮細胞)におけるDBI、PBR、PAC1-R、CYP11A1の発現を調べる研究を計画している。
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Research Products
(1 results)