2011 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質味覚野の局所回路におけるシナプス伝達に対する一酸化窒素の作用機序
Project/Area Number |
23890216
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
山本 清文 日本大学, 歯学部, ポスト・ドクトラル・フェロー (30609764)
|
Keywords | シナプス伝達 / 一酸化窒素 / 島皮質 |
Research Abstract |
シナプス後ニューロンによって産生・放出される種々のレトログレード・メッセンジャーは,投射先のシナプス後ニューロンの種類や性質の判別に貢献するだけでなく,異なるメッセンジャーによってシナプス前ニューロンとシナプス後ニューロン間のシナプス伝達に特異性を生み出すとの仮説に基づき島皮質内シナプス伝達におよぼす」酸化窒素(NO)の影響を検証した。免疫組織学的手法によってNO合成酵素NOS-1陽性反応が島皮質内の抑制性ニューロン様の形状を呈する細胞ならびに錐体細胞の尖端樹状突起に認められた。Venusタンパク陽性反応ならびに発火特性によって分類されるGABA作動性抑制性ニューロンと種々の後ニューロン間における島皮質内のシナプス応答に対するNOの作用をスライスパッチクランプ法によって検討した。Fastspiking(FS)ニューロンと興奮性ニューロンの間(PYR)ならびにFSと抑制性ニューロン(Int)の間シナプス(n=69)において、NOのドナーであるSNAP存在下、約30%のシナプスに増強応答ならびに約40%のシナプスに減少応答が認められた。一方、FS以外に分類される抑制性ニューロン(nonFS)とPYR間のシナプス応答ならびにnonFSとInt間のシナプス応答(n=15)は、SNAP存在下でいずれも減少した。シナプス伝達に対するNOの効果はNOスカベンジャーであるPTIO存在下で認められなかった。抑制性シナプス後電流の振幅値から算出されるpaired-pulse ratio値の解析からSNAPは終末の放出機構を修飾すると推定された。本結果より(1)NOを産生する能力のある細胞に特異性が存在し、(2)外因性NOに対するシナプス伝達の修飾作用はシナプス前ニューロンのタイプに依存することが推察される。これらから島皮質内シナプス伝達に対する内因性NOの作用は、種々のニューロン同士で結合するシナプスの種類に極めて高い選択性を有すると予測される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成23年度に予定していた研究計画を全て実行した。さらに、当初計画されていない免疫学的手法を積極的に取り入れNOを産生する能力のある細胞タイプの推定を行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
脱分極性パルスによって島皮質ニューロンからNOを産生・放出させ,シナプス伝達に影響を及ぼす内因性NOの細胞内調節機構を解明する予定である。
|
Research Products
(1 results)