2011 Fiscal Year Annual Research Report
マウス歯周病モデルを用いたTh17細胞の歯周疾患と骨免疫機構への関与
Project/Area Number |
23890217
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小林 良喜 日本大学, 松戸歯学部, 助手(専任扱) (10609085)
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Keywords | 感染症 / 免疫学 / 歯周疾患 / Th17 / 口腔粘膜 |
Research Abstract |
本研究ではAggregatibacter actinomycetemcomitans(A.a.)による歯周炎発症におけるTh17細胞の役割を解明する為に、Th17細胞及び関連分子について、特に口腔免疫機構と骨免疫機構間のネットワークを中心に細胞および分子レベルでの解析を行うことを目的としている。抗原提示細胞により分化・誘導されたTh17細胞は口腔粘膜機構と骨免疫機構間でのネットワークに重要な役割を果たしていると考えられるが、そのメカニズムは解明されていない。そこで、申請者らが確立した、Porphylomonas gingivalis(P.g.)を用いた歯周病モデルマウスの系を応用し、A.a.を口腔感染させる事で歯周疾患におけるTh17細胞が関与する口腔粘膜機構と骨免疫機構間の協力体制を解析した。 P.g.の口腔感染から30日後に炭酸ガスにて安楽死させ、マウス上顎骨から軟組織を除去し、マウス歯槽骨吸収を検討したところ、A.a.口腔感染群において顕著な歯槽骨吸収が生じていたが、リアルタイムPCRを用いてA.a.口腔感染群マウスの歯肉粘膜組織より産生される炎症性サイトカイン(IL-6、TNF-α)を計測したところ疑似感染群とほぼ同程度であった。A.a口腔感染群マウスの歯肉単核細胞(Gingival mononuclear cell;GMC)の動態を経時的に解析する為に歯肉粘膜組織よりGMCを単離し、T細胞、B細胞、樹状細胞、およびマクロファージについて、フローサイトメトリーを用いて解析したところ、P.g.口腔感染群と比べてマクロファージの顕著な増加や、活性型CD62L^+CD4^+T細胞の顕著な増加を歯肉粘膜組織中に認めた。さらに、活性型CD62L^+CD4^+T細胞は破骨細胞を活性化させるRANKLの発現が経時的に増加していることが認められた。これからの結果から、A.a.口腔感染により歯肉粘膜に炎症を惹起させずとも口腔粘膜組織中にRANKL^+活性化型CD4^+T細胞の誘導することで顕著な歯槽骨吸収が生じたと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
A.a,口腔感染によりマウスに歯槽骨吸収が生じることを確認した。また、炎症性サイトカインの発現をリアルタイムPCR法により解析したところ顕著な炎症反応は生じていないが、フローサイトメーターにより破骨細胞を制御する活性型CD4^+T細胞の動態を確認したことで、歯槽骨吸収の裏付けることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
A.a.口腔感染により顕著な歯槽骨の吸収を確認したが、歯周組織の炎症状態を確認するために病理組織像や免疫蛍光組織染色像によりさらに検討したい。P.g.口腔感染による歯周疾患モデルマウスでは歯肉粘膜組織中において樹状細胞が顕著に増加しているが、A.a.口腔感染群ではマクロファージの増加が認められた。近年、樹状細胞が破骨細胞へ形質転換することが報告されているが、マクロファージも同様に破骨細胞へ形質転換するので、今後は活性化型CD4^+T細胞等による破骨細胞分化機構を分子レベルで解明したい。
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Research Products
(1 results)