2011 Fiscal Year Annual Research Report
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23890237
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
松崎 秀紀 川崎医科大学, 医学部, 助教 (80335463)
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Keywords | アスベスト / 悪性中皮腫 / がん / 免疫 / 制御性T細胞 / 転写因子 / FOXO1 |
Research Abstract |
平成23年度はマイクロアレイ解析および定量RT-PCR法を用いてアスベスト継続曝露MT-2細胞とコントロール細胞内のFOXO1、FOXP3およびNFATのmRNA発現量を検討した。その結果、アスベスト継続曝露細胞内ではFOXO1とFOXP3の発現量が低下していることが見いだされた。さらにFOXO1について詳細に解析したところ、アスベスト継続曝露細胞ではmRNA量と一致してFOXO1タンパク質量も減少していること、p27Kip1やFasリガンドなど既知のFOXO1標的遺伝子のmRNA発現量も低下していることが明らかとなった。FOXO1は標的遺伝子の発現を介して細胞周期の停止やアポトーシスを誘導することが知られており、アスベスト継続曝露はFOXO1シグナリングの減弱し、制御性T細胞の増殖や生存を促進することが示唆された。なお、アスベスト曝露細胞とコントロール細胞でNFATの発現量に違いは見られないことから、NFATはアスベスト曝露による制御性T細胞の機能増強には関与しないことが考えられる。 一方、我々の研究グループはこれまでにアスベスト継続曝露株では抑制性サイトカイン(TGFβ、IL-10)産生が亢進していることを明らかにしている。従来、これらのサイトカインはFOXP3により発現を制御されていると考えられていたが、本研究によりアスベスト継続曝露細胞ではFOXP3の発現量が低下していることが示された。即ち、アスベスト継続曝露細胞ではFOXP3の発現量と上記サイトカイン産生量とは一致せず、アスベスト継続曝露細胞はFOXP3とは独立の新たな分子機構を介して抑制性サイトカインの発現を調節する可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画ではルシフェラーゼレポーターを用いた転写因子の活性測定を予定していたが、実験系の確立に時間を要したため実験計画を変更し、各転写因子の内在性標的遺伝子の発現量を測定した。以上の計画の修正を行なったが、アスベスト継続曝露によりFOXO1発現の低下が見いだされたことから研究の達成度はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は昨年度までの解析結果に基づきFOXO1を中心に解析を進める予定である。FOXO1を標的としたshRNA発現レンチウィルスベクターを用いてMT-2コントロール細胞のFOXO1ノックダウンを実施するとともに、FOXO1発現レトロウィルスベクターを用いてアスベスト継続曝露株を親株としたFOXO1発現回復株を作製する。アスベスト継続曝露株に加えて上記のFOXO1発現調節細胞株を用い、研究計画に記載しているサイトカイン産生量の解析、細胞周期の観察、高濃度アスベストによるアポトーシス誘導実験を実施し、制御性T細胞の制御におけるFOXO1の役割を解析する。
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Research Products
(23 results)