2011 Fiscal Year Annual Research Report
シェーグレン症候群の外分泌腺異常における上皮―間葉転換の意義と新規治療法の開発
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23890243
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
廣正 佳奈 産業医科大学, 医学部, 専修医 (00612384)
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Keywords | シェーグレン症候群 / 上皮-間葉転換 / 唾液腺 / 汗腺 / 涙腺 |
Research Abstract |
シェーグレン症候群は中高年女性に好発する唾液腺や涙腺など外分泌腺に対する自己免疫疾患であり、口腔内乾燥や乾燥性角結膜炎をひきおこす。また、皮膚症状として皮膚乾燥や環状紅斑を呈することがある。同じ自己免疫疾患である全身性強皮症においてエクリン汗腺細胞が、上皮-間葉転換をおこし、筋線維芽細胞に変化し、病態に関与する可能性をこれまで産業医科大学より発表した(Nakamura M et al,Br J Dermatol 2011)。シェーグレン症候群の小唾液腺や涙腺生検では唾液腺、涙腺周囲のリンパ球浸潤のほかに、線維化をおこしている症例があり、シェーグレン症候群においても小唾液腺、涙腺や汗腺細胞が上皮-間葉転換をおこし、病態形成に関わっているかどうか本研究で明らかにする。 平成23年度においては、ヒトのシェーグレン患者の小唾液腺、エクリン汗腺において上皮-間葉転換がおこっているかどうかを検討するために、シェーグレン症候群患者から同意を得られて採取された小唾液腺、皮膚生検組織を上皮-間葉転換時に発現が上昇するSnaill、Twist1に対する抗体を用いて免疫組織化学法を行い、Snaill、Twist1などの蛋白の発現が上昇しているか比較した。その結果、ヒトのシェーグレン患者の線維化をおこしかけている小唾液腺、エクリン汗腺においてSnaill、Twist1が発現していることが明らかになり、ヒトのシェーグレン患者の小唾液腺、エクリン汗腺においても上皮-間葉転換が起こっている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シェーグレン症候群患者の小唾液腺組織においてSnaill、Twist1陽性細胞が認められ、ヒトのシェーグレン症候群においても上皮-間葉転換がおこっている可能性が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスにシェーグレン症候群の自己抗体が認識する自己抗原を注射するシェーグレン症候群のマウスモデルを用いて涙腺、唾液腺、皮膚からmicroRNA、mRNAを抽出しマイクロアレイを施行する。このマイクロアレイで候補にあがった遺伝子がコードする蛋白に対する抗体を用いて免疫組織化学染色を行い、ヒトシェーグレン症候群患者やシェーグレン症候群のマウスモデルの上皮-間葉転換時の発現パターンを調べる。さらにマウスモデルに上皮-間葉転換に重要なTGF-β1に対する中和抗体やSnaill siRNAを投与し涙腺、唾液腺の線維化が抑えられるか観察する。
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