2011 Fiscal Year Annual Research Report
段差の高さと車いす通過介助操作方法が乗り心地および介助負担に及ぼす影響
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23890246
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Research Institution | Junshin Gakuen University |
Principal Investigator |
能登 裕子 純真学園大学, 助教 (40615910)
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Keywords | 車いす / 介助方法 / 段差 |
Research Abstract |
車いす走行環境の中でも特に段差は、屋内外とも走行上大きな障害となる。バリアフリー化が進められているが、車いすを介助者が操作し利用する場合を視点とした段差基準や操作指針はない。本研究は、介助者が車いすを操作して段差を通過する場合の(1)段差高さ(階段状)が介助者の操作に及ぼす影響について、(2)車輪持ち上げ操作技法と乗り心地および介助負担との関係について検討し、高齢女性にも容易に通過可能な階段状段差高さの基準値と望ましい持ち上げ操作技法についての指針(ガイドライン)を提案することを目的とする。過去の先行研究の成果に本研究の成果が加わると、路面ごとに必要な介助操作技術をほぼ網羅できる。これにより、車いす介助操作指針の提案が実現できる。 本年度は、本研究期間に挙げている3つの課題のうち、研究1「高齢介護者でも通過可能な階段状段差基準値の提案」および研究2「高齢介助者の段差通過持ち上げ動作が乗り心地と介助負担に及ぼす影響と望ましい操作指針の明確化」の一部を行った。 実験は、60歳代女性介助者11名と20歳代女性乗車者2名(体重を固定)を対象とし、5~150mmの高さ8条件の階段状段差と2種類の乗り上げ方法(前・後輪押し付け・前輪持ち上げ)を設け、段差通過区間における車いすの走行軌跡や介助者の操作姿勢などを計測した。その結果、乗り上げ可能な境界高さは90mmであり、90mm以上では、乗り上げ可能でも操作中にバランスを崩すなどの難あり操作が認められた。90mm以上の段差の乗り上げ操作は、介助者の技術レベル、握力により転倒などの危険性が生じることを考慮する必要があることが示唆された。一方で、車いすの走行軌跡は、段差高さに関連がなく、個人による乗り上げ動作の違いが影響していた。中でも、持ち上げ前の前輪位置と前輪持ち上げ高さは、乗り心地の低下を招くおそれがある動作との関連がみられ、望ましい操作の指針となる可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画のスケジュールとしていた、平成23年度後半期の実験を遂行し、研究1の目的および目標の示唆を得ており、平成24年度前半期の学会発表準備がほぼ終了している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初、研究1はビデオカメラによる2次元動作解析、研究2は3次元動作解析を予定していたが、研究1・研究2とも詳細な介助動作の分析が必要となり、研究協力者(村木里志氏・九州大学)の所有する動作解析実験室を借用し、リアルタイム3次元動作解析を行った。その結果を基に、研究3は、科学研究費にて購入したビデオカメラと解析ソフトを使用し、検証実験を行う予定である。
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