2012 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルス性肺炎発症病態における宿主膜貫通型タンパク分解酵素TMPRSS2の役割
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23890252
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
安部 昌子 国立感染症研究所, ウイルス第三部, 研究員 (80613968)
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Project Period (FY) |
2011-08-24 – 2013-03-31
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Keywords | TMPRSS2 / センダイウイルス / 開裂 |
Research Abstract |
TMPRSS2ノックアウトマウスの樹立に成功した。このマウスにセンダイウイルスを感染させて体重変化および感染部位でのウイルスの拡がりを観察した。その結果、今回行った条件では、野生型のマウスと比較して大きな差は認められなかった。ウイルス接種量の条件検討が必要ではあるものの、TMPRSS2はセンダイウイルス感染に必須ではない可能性が考えられた。 昨年度までに作出した、膜タンパクの開裂部位に変異を加えたセンダイウイルス変異株(Q114A、Q114S、Q114V、S115RおよびS115V)の性状解析を行った。TMPRSS2を強制発現させた培養細胞での多段階増殖を調べたところ、親株は効率よく増殖する一方、全ての変異株でその増殖性が低下した。特にS115R株は、親株に比べ増殖性が著しく低下した(約1000倍)。以上の結果から、センダイウイルスがTMPRSS2によって効率よく増殖するためには、P2位およびP3位のアミノ酸が重要であることが示された。 次に、強制発現系ではなく、TMPRSS2を発現していることが分かっているCalu-3細胞(ヒト気管上皮細胞)およびCaco-2細胞(ヒト消化管上皮細胞)を用いて同様の実験を行った。その結果、P2位を変異させた株は親株と比較して増殖性が低下した。一方、P3位を変異させた株の増殖性は親株とほぼ同等であり、TMPRSS2強制発現系と比べ、変異株の増殖性に違いが認められた。これらの細胞株ではTMPRSS2以外にも様々なプロテアーゼを発現していることから、この増殖性の差はTMPRSS2以外のプロテアーゼによってウイルスが活性化されたことによるものではないかと考えられる。 以上のことから、センダイウイルス膜タンパク開裂部位のQSRは、ウイルスの増殖に必須ではないもののTMPRSS2によって効率よく増殖するためには重要なアミノ酸であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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