2011 Fiscal Year Annual Research Report
マウス順遺伝学的解析に基づく不動毛形成に関与する遺伝子同定と分子間相互作用の解明
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23890253
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
関 優太 財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, 研究員 (10615636)
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Keywords | 遺伝学 / 遺伝子 / ゲノム / 遺伝性難聴 / 難聴モデルマウス / Myosin VI |
Research Abstract |
難聴モデルマウスの研究成果はヒトの難聴原因遺伝子の同定に大きな貢献を果たしている。本研究はトランスジェニックマウス作成の過程で単離し、行動異常および完全難聴を示すksv(Kumamoto shaker/walzer)の発症原因遺伝子をポジショナルクローニングによって同定し、新規ヒト難聴モデルとしての評価することを目的として研究を実施し、以下の結果を得た。 1.ksvの難聴発症原因遺伝子の同定 : ksvマウスと遺伝的背景が異なる日本産野生マウス由来であるJFlを交配パートナーとしてポジショナルクローニングを行った結果、ヒト/マウスの難聴原因遺伝子であるMyosin VI(Myo6)のミスセンス変異を検出した。また、走査型電子顕微鏡を用いてksvの内耳感覚毛を観察した結果、感覚毛の崩壊、融合および巨大化が認めれられ、これまで報告されているMyo6に突然変異をもつモデルマウスと一致した。さらにMYO6欠損マウスであるrsv(Rinshoken shaker/walzer)とのアレリズムテストにより得られたFlは行動異常および難聴を示したことからksvマウスの原因遺伝子はMyo6の新規突然変異アレルとして同定した。 2.原因遺伝子の発現解析 : ksvの突然変異部位はこれまで報告されているモデルマウスとは異なることに加え、その変異部位はMyo6第13エクソン供与部位に認められ、スプライシング異常を引き起こすことが予想できた。突然変異部位を含む領域をRT-PCRによって発現を調査した結果、野生型には認められないスプライシング異常が認められた。現在までに、Myo6のスプライシング異常によって難聴を引き起こすモデルマウスは報告されていないことから、新たなヒト難聴および不動毛形成メカニズムの知見が得られると予想された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.主要目的であったksvの難聴発症原因遺伝子の同定を達成できたこと、既知の難聴原因遺伝子のアレルであったが、発現解析により新たなヒト難聴および不動毛形成メカニズムの知見を得ることが予想できた。 2.B6およびC3Hへの変異アレル導入を進行中であり、原因遺伝子の同定により遺伝子型判定によりヘテロ個体を用いた戻し交配が可能となり、早期系統樹立が期待できた。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、ksv突然変異アレルをB6およびC3H系統の遺伝的背景に導入する。また、詳細なMyo6の発現解析および表現型解析を実施する。加えて、MYO6と相互作用するタンパク質を同定するため、酵母2ハイブリットシステムにより行う。同定したタンパク質はプルダウンアッセイにより結合を確認する。また、得られたタンパク質の内耳感覚毛における発現および局在を調査する。また、難聴を示す既知のモデルマウスとksvを交配し、コンパウンドヘテロおよび2重変異体を作製後、表現型解析を行うことにより分子間相互作用の検証を実施する。特に、大きな研究計画の変更は無く、Myo6のスプライシング異常による新たな不動毛形成メカニズムの知見を明らかにすることを目指す。
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Research Products
(2 results)