2011 Fiscal Year Annual Research Report
分極無機材料と有機高分子との協調作用による階層構造を持つ炭酸カルシウム材料の創製
Project/Area Number |
23921003
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
和田 徳雄 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 非常勤講師
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Keywords | カルサイト / 電気的分極 / 結晶成長 |
Research Abstract |
1研究目的:分極基板(カルサイト単結晶)による局所電場を切り口として有機添加物との協調作用により制御された階層構造を有する炭酸カルシウム複合体材料の創製。 2研究方法:炭酸カルシウム複合体を創製する方法としの実験系はCaCl_2-(NH_4)_2CO_3systemを用い、反応時間は48時間とした。分極基板としてはカルサイト単結晶のそれぞれ特徴的なCa^<2+>イオン、CO_3^<2->イオンの配置を示す(00.1)面、(10.0)面とへき開面である(10.4)面の3種類を用いた。 これらの基板を直流電場5kVcm^<-1>、温度400℃で1時間、電気的分極処理を行った。添加有機物としては,ポリアスパラギン酸(分子量5千-1万5千)とポリグルタミン酸(分子量2千-1万5千)を用いた。分極面が正あるいは負に帯電した面をそれぞれP面、N面と略し、未分極な面を0面と記す。 3研究成果:(1)ポリアスパラギン酸(PAsp)添加において、基板の種類に限らず階層構造の薄膜が形成した。階層構造は基板から平坦で破断面が柱状構造を示す層、その上に半球状で破断面が扇状構造を示す層で構成されていた。FTIR分析により、柱状構造はカルサイトを主としたバテライトとの混晶で、扇状構造はアラゴナイトで構成されていた。また、柱状構造のPAsp含有量は扇状構造より多かった。柱状構造は基板の種類によらずN面で優勢に形成し、特に(00.1)面でその膜厚は最大3.5μmに達した。扇状構造の厚さはPAsp添加量が増加するにしたがって減少する傾向があった。この二種類の構造の境界は明確であった。この構造の違いはPAspの立体構造に関係すると思われる。 (2)ポリグルタミン酸(PGlu)添加において、基板の種類によらず階層構造の薄膜は形成しなかった。幾何学選択作用が働いたカルサイト柱状晶集合体による薄膜が形成した。柱状結晶は先端のファセットからc軸方向に成長したことが判った。膜形成は(1)と同様にN面で優勢であった。その膜厚は最大4.0μmに達した。 (3)分極基板による局所空間電場は結晶成分の物質輸送と酸性高分子の立体構造を制御する。
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