2011 Fiscal Year Annual Research Report
メトホルミン塩酸塩による下痢発現を回避するための薬剤師の積極的介入の評価
Project/Area Number |
23929004
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
岡安 伸二 岐阜大学, 医学部附属病院, 薬剤師
|
Keywords | メトホルミン / 下痢 / リスク因子 |
Research Abstract |
我々は、インスリン抵抗性改善薬として繁用されているメトホルミン塩酸塩(以下メトホルミン)の副作用、特に下痢の発現が高頻度で認められていることから、岐阜大学医学部附属病院における現状を調査することとした。メトホルミンが新規に投与された2型糖尿病患者101名を対象として副作用発現状況を調査した結果、軽度の下痢が26.7%の患者に発現していた。下痢のリスク要因として、初回投与量750mg、年齢≦65歳、女性、BMI≧25kg/m^2、ALT≧30 IU/L、およびALP≧270 IU/Lが見いだされた。さらに、これらのリスク因子保有数が3を超えると、因子数が増えるとともに下痢発現率が直線的に高くなっていた。一方、メトホルミンによる血糖改善効果は十分に認められており、初回投与量500mg群より750mg群の方がその効果は強かった。したがって、メトホルミンの効果を最大限発揮させ、また副作用を最小限に抑えるためには、個々の患者が持っているリスク因子を考慮した上で、初回投与量減量などの下痢対策を患者ごとに講じる必要があると考えた。そこで、われわれ薬剤師はリスク因子が3つ以上ある患者に対して(1)初回投与量を750mgから500mgに減量する(2)使用している緩下剤の中止する(3)下痢止めを追加するのいずれかの対策を提案することとした。その結果、下痢発現率は23人中3人(13.0%)となり、対策を講じる前の下痢発現率(26-7%)と比較すると、下痢発現低下が認められた。 今回の研究結果では、個々の患者が保有しているリスク数を考慮して、メトホルミンの初回投与量の決定や緩下剤、下痢止めの調整などの対策を講じることで、下痢の発現リスクを低下させることができた。このことがメトホルミンの服薬アドピアランスの向上、さらには糖尿病患者の血糖コントロールの維持に貢献できると考える。
|