2011 Fiscal Year Annual Research Report
成人・小児人工内耳装用者の雑音下における聴取能の研究
Project/Area Number |
23931005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
赤松 裕介 東京大学, 医学部附属病院, 言語聴覚士
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Keywords | 人工内耳 / 聴取能 / 雑音負荷 |
Research Abstract |
小児人工内耳(CI)装用例と中途失聴成人CI装用例に対し、日常生活条件に近い雑音負荷条件の聴取能について、及び健聴児と比較し、関連する要因について検討した。 対象はCI小児41例(6~13歳)とCI成人32例(23~78歳)、健聴児童20名(6~12歳)である。検査施行時期は小学校就学以降、併せてCI装用後1年以降に実施した。 語音聴取評価CI2004の文章(成人・学童用)を用い、CI装用下に2台のスピーカから検査語音と加重不規則雑音を提示した。検査語音レベルを一定にして、静寂下、SN比20dB、10dB、5dB、0dBの5条件で雑音を変化させた。 正答率は小児CI群・成人CI群ともにSN比+10dB条件で有意に低下し、小児・成人例の差異は少なく、健聴群(SN比0dB条件)と比べて有意に低下した。静寂下での聴取能が同等の者でも雑音下での聴取能には個人差を認めた。また、聴取能の良好な者でも健聴者のそれを上回らず、個別の評価の重要性が示された。 雑音下の聴取能(SN比10dB条件下)に関連する要因として、小児CI群・成人CI群ともに静寂下単音節聴取能・環境音聴取能と相関を認めた。また小児CI群では電気生理学的要因であるCレベルと、個体要因では術前補聴器装用閾値と言語性知能に相関を認め、複合的な要因の関与が推測された。 一般健聴者との雑音下での聴覚情報量の差は明らかであり、これらSN比改善のために自動感度調整の設定やFMシステムの利用など補助機器の活用を検討することが望まれる。
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