2011 Fiscal Year Annual Research Report
脳機能変化の解明:脳解剖・機能画像による評価法確立と臨床応用
Project/Area Number |
23931045
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
雨宮 史織 東京大学, 医学部附属病院・放射線科, 医師
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Keywords | 脳解剖画像 / 脳機能画像 / fMRI |
Research Abstract |
簡単なタスク施行時の脳活動を刺激として、神経血管連動(neurovascular coupiing)異常を定量化することにより、慢性期脳血管障害における血行動態異常重症度の評価が可能であることを示した。また、neurovascular couplingが一定であることを前提として行われる通常解析法では、虚血患者において正確な脳賦活域の評価が出来ないこと、このような場合でもhemodynamic response function(HRF)を想定しない解析法では、賦活域の同定が出来ること、但し虚血患者では酸素代謝率は保たれていても、血流増加分が少なくこれが酸素摂取率増大で補われているため、信号変化率はもはや神経活動の大きさを反映しないこと、neurovascular coupling異常の背景には安静時および賦活に伴う血流増加分の低減があり、(平均通過時間の延長と酸素摂取率増加を伴って)HRFの変形・遅延が起こることを示した。 これは、(1)臨床患者のfMRIにおける正確な脳機能評価には、blood-oxygen-level-dependent(BOLD)反応の生理学的背景とこれの病的変化を理解した適切な実験、解析、解釈が必須であることを示すものである。同時に、(2)通常、臨床にて放射線被曝や造影剤、拡張剤等の外因性物質を用いて行われている慢性期脳血管障害における血行動態異常重症度、循環・代謝代償性反応(autoregulationないし循環予備能低下、酸素摂取率の増加)の評価を、脳神経活動を内因性血管拡張刺激として、BOLD反応の異常を評価することにより、完全に非侵襲的に行うことができるということを示すものである。
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